No.1 バリデーションを実施するタイミング・周期と最適な実施者
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バリデーション実施のタイミングとその周期の考え方は
改正薬事法に於いて、バリデーションを実施するタイミングは、3通りあります。
- ●1つ目は、GMPの更新を行うとき
- この場合は、設備・機器の導入時期が、平成6年の『バリデーション基準』施行前後でバリデーションの種類が変わります。
- 施行前では、既存設備のバリデーションが未実施のため『予測的バリデーション』から実施します。
- 施行後では、設備・機器の予測的バリデーションが実施されていますので、定期的に『再バリデーション』を実施します。
- ●2つ目は、既存の設備を新しくGMPに対応させるとき
- GMPに対し、新規対応になりますので『予測的バリデーション』から実施します。
- ●3つ目は、設備を改造・改良するとき
- 予測的バリデーションは、設備導入時に実施済みですので『変更時のバリデーション』を実施します。
その中で、定期的な周期で実施しなければならないのは、
再バリデーションです。
【重要】この周期を、5年毎に更新されるGMPに合わせるという間違った解釈をされている場合が多々ありますのでご注意ください。
- ●では、その周期決定は
- 製造製品の品質の適切性を、第三者に継続的に立証できる期間であることと考えます。
- ●そして、その周期は
-
- お客様が決定することになります
- 第三者を納得させ得る周期であること
が重要になります。
- ●次に、具体的な周期をきめるとき
-
- 長すぎると単に、「製造品質に適合した製品を恒常的に生産できる状態を維持してる」と言うだけで、立証にならない。
※特に、受託生産では、委託先から管理レベルを疑われかねないと思います。 - では、短ければ短いほど良いという事になるがバリデーション・キャリブレーションコストは実施回数が多くなり、高くなってくる。
- 長すぎると単に、「製造品質に適合した製品を恒常的に生産できる状態を維持してる」と言うだけで、立証にならない。
そこで、お客様(実施企業)と第三者の双方が納得できる定期的な再バリデーションの周期について、当社は、1年を推奨しています。
- ●推奨の理由
-
- 監査の際に、外部監査員の「昨年データの提示要求」に応じることができる。
- 第三者からの「年次毎の品質確認要求」にも確実に対応できる。
参考:当社が依頼を受ける周期の例
◆外資系の製薬会社からのご要求は3ヶ月6ヶ月と短期間になっています。
◆多くの国内の製薬会社からのご要求は12ヶ月になっています。
バリデーション、キャリブレーションの最適な実施者とは
- ●まず、規格の目指す方向や実施の状況を見てみますと
- 規格が求めていることは
「医療業務と薬剤業務の分離」や「臨床検査室の試験所認定の流れ」は、製造と品質証明に於いても、役割分担を目指していると考えられます。 - ●しかし、その現状は
-
- まだまだ、社内にて実施されていることが多いと思われます。
- それは、GMPが要求された当時に、役割分担における立証業務を担うだけの委託先が少なく、止むを得ず社内にて実施されたことが、引き続いていると考えられます。
そこで、「最適な実施者の要件」を考察してみました。
備えるべき要件は「社会的に独立性があること」と「専門性があること」になります。
- ●独立性があるとは
- 当該企業の資本が独立していて、系列下になく、判断が独自にできること
- ●専門性があるとは
- バリデーション・キャリブレーションに対して、専門の知識・ノウハウを持ち、専門の要員で、専門の仕組みで実施できることと考えます。
そして、この備えるべき要件は「社内実施」でも・「外部委託」でも、具備すべき必要要件になります。
【参考データ】
- ●予測的バリデーションで実施する項目は
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- DQ【Design Qualification】:設計の科学的根拠・妥当性と適格性確認
- IQ【Installation Qualification】:据付状態の適格性確認
- CAL【Calibration】:取付機器の単体・ループでの適格性確認
- OQ【Operational Qualification】:稼働状態の適格性確認
- PQ【Process performance Qualification】:工程稼働適格性の確認
- ●変更時のバリデーションで実施する項目は
- 変更箇所に限定した、予測的バリデーションを実施します。
- DQ【Design Qualification】:設計の科学的根拠・妥当性と適格性確認
- IQ【Installation Qualification】:据付状態の適格性確認
- CAL【Calibration】:取付機器の単体・ループでの適格性確認
- OQ【Operational Qualification】:稼働状態の適格性確認
- PQ【Process performance Qualification】:工程稼働適格性の確認
- ●再バリデーションで実施する項目は
- 予測的バリデーションは完了していますので、DQ・IQは不必要です。
- CAL【Calibration】:取付機器の単体・ループでの適格性確認
- OQ【Operational Qualification】:稼働状態の適格性確認
- PQ【Process performance Qualification】:工程稼働適格性の確認