化粧品製造におけるバリデーション実務のサポート
化粧品製造とバリデーション
専門委員会「ISO/TC 217 化粧品」が2007年に発出した、国際規格 ISO 22716 化粧品GMPガイドラインでは製品の品質に重要な試験用及び生産用の計測器は、定期的に校正することと要求しています。
この国際標準は
化粧品の生産、管理、保管及び出荷についての指針です。
このガイドラインは、製品の品質面も対象としています。つまり「よい品質の化粧品を製造するための製造管理及び品質管理の基準」と言えます。
では、バリデーションでは何を実施したら良いかをもう少し詳しく規格要求を見てみます。
化粧品製造で求められているバリデーションで実施すること
化粧品ガイドラインの規格要求から、バリデーションを実施すべきことが浮上してきます。
- 1.バリデーション(検証)
①機器の設計
②据付け
③校正
④保管
⑤再評価
⑥品質管理試験
ガイドラインでは、こういった検証作業についても、文書化することが要求されており、活動に適した手順、指示、規格、作業手順、プロトコール、報告、方法、記録のような要素で構成されていることを求めています。
実際の現場では、バリデーション(検証)作業をキチンと実施する必要がありますが、この規格要求を読んで、理解して、現場で具体的にどのように実施していったらよいかを明確にするには相当大変な作業だと容易に想像できると考えます。
現場でバリデーションを実施するには、規格要求を読み解くことが重要です
実際の現場で規格要求をキチンと実現するにはどうすればよいのでしょうか
それは、それぞれの規格要求を読み解き実施レベルまで落とし込む必要があります。
例えば、バリデーション(検証)の③校正では
製品の品質に重要な試験用及び生産用の測定器は、定期的に校正すること。
と要求しています。
たったこのことから、現場でどのように実施するかを決める読み解きが重要になります。
どこも開示していない、当社ならではの読み解き方の1つをご紹介します。
校正の読み解き方
■バリデーション(検証)の③校正の要求内容
製品の品質に重要な試験用及び生産用の計測器は、定期的に校正すること。
ここで注目する言葉は、「品質に重要な試験用及び生産用の計測器」「定期的」「校正」の3つの言葉に注目します。それぞれを読み解いていきます。
「品質に重要な試験用、生産用の計測器」とは何でしょう。
各生産工程等で使用されている、生産条件を制御、或いは監視している計器であったり、製品検査や最終検査で使用されている計測器と考えれば良いと考えます。
日々の生産管理や、品質管理でデータとして記録に残している数値を示す指示計や、温度や、圧力等を制御している調節計の類、最終検査や、品質管理で使用される分析計や試験機器などが対象になると思います。
「定期的」とはどんなことでしょう。
電気的な計測器もあれば、そうでない計測器もありますが、何れも永久的にその精度を維持することは無理と思われます。
そういった変化をする計測器を使用してデータ取りをしたり、制御をしたりするので、ある一定の期間、それは一年毎であったり、半年毎であったり、その使用頻度や、使用環境によって実施スパンは変わりますが、決められた期間毎の校正によって計測器の劣化の程度や、更新時期の判断材料になります。
次に、「校正」とは何を示すのでしょう。
このガイドラインの用語及び定義で「校正」とは、一定の条件下で計測器又は計測システムが示す値、あるいは物質測定で得られた値とそれに対応する標準器の既知の値とその一致を立証する一連の操作。
となっています。
この定義を詳しく読み解くには3つの言葉に注目して考える必要があります。
- 「一定の条件下」とは再現できる条件であり、環境や測定方法、使用する機器など再現できる条件となります。
- 「計測器又は計測システムが示す値」とは校正の作業の際に、品質に重要な試験用及び生産用の計測器が示す値のことです。
- 「標準器の既知の値」とは校正で使用される標準器の値のことで、この標準器は国際基準、国家基準までのトレーサビリティと対象となる計測器に求める精度の1/3~1/10の精度が要求される計器です。
このように、バリデーション(検証)の③校正を読み解くと、校正では、製品の品質に重要な試験用及び生産用の計測器は、定期的に国家標準とトレーサビレイティの取れた標準器で確認すれば良いということになります。
ここでは、校正を記しましたが、実際には他のバリデーションの要求をキチント読み解く必要があります。
しかし、この読み解きによって、現場で何をどの様に実施していくかがはっきりしてきても、実際に実施しようとすると様々な課題が生ずることが多くて悩みに尽きないと考えます。
化粧品の製造現場でのバリデーションの実務には多くの悩み事があります
化粧品製造の現場でバリデーションを実際に実施する時には多くの悩みごとがあると思います。
化粧品GMPガイドラインが要求するバリデーション作業の具体化策に不安がある
化粧品GMPガイドラインが要求するバリデーションを具体的に何をどの様に実施したら良いか分からないため実際バリデーションを現場で進めようとすると多くの悩み事が生まれてくると考えられます。
バリデーションの知識・技能に不得手な部分があるため、全体の作業品質がアップしない
化粧品を製造する設備・装置は、「混合」「撹拌」「充填」「検査・包装」など多種多様な設備が使われています。
これらすべての設備のバリデーションを実施しようとすると数限りない知識や経験が必要と思います。
知識不足な設備のバリデーションは実施レベルが低くなることも考えられ、全てのバリデーションを高品質に実施するには限りがあると考えられれます。
バリデーションを理解し、バリデーション作業が出来る人材が限られている
バリデーションを実施するには、作業に関わることだけでも、専門的な知識を有することが必要であり、それらの作業を現場で確実に実施するには知識習得の時間が必要になり、多くの人材を育成できないことは容易に想像できます。そのため、どうしても人材が限られてしまいます。
特定の担当者に作業の負担が偏って、残業時間が増加してしまう
化粧品などを製造する現場では、専門知識を有した限られた人材で作業を実施しようとすると偏りや残業時間の増加などが発生してしまいます。
バリデーションを委託できる専門企業がない
バリデーションを外部に委託しようとしても、色々な設備や装置などを専門的に実施している企業はなかなか見つからないのが現状と思います。
等々の悩み事があると思います。
現場でバリデーションを担当する当社にも、このような様々な悩み事の相談を受けることがありますのでこれらの悩み事はどのような原因や背景で発生しているか考えてみました。
バリデーション実務での悩み事の原因
会社それぞれに環境や状況は当然違いますが、これらの悩み事が生じる原因を想定すると
バリデーション実務の知識不足
医薬品製造で現場視点でのバリデーションの実務知識をを知りたいと思っても、適当な教育機関や教育本もないのが現状だと思います。
バリデーションの作業に関しての技術不足
バリデーション作業に必要な技術は、電気・物理や計装など結構多くの技術が必要で全ての技術を習得することが難しい
人材不足
医薬品を製造するにはバリデーションが必要だが、直接、生産する作業でないため、最低限の人材でしか確保できない。
が主な原因てないかと考えます。
まとめ:化粧品製造における悩み事(関心事)と原因(背景)
製剤における悩み事(関心事)と原因(背景)のまとめ
悩み事(関心事) | 原因(背景) |
---|---|
バリデーションの知識・技能に不得手な部分があるため、全体の作業品質がアップしない。 | 〈知識不足〉 どこで勉強して良いか分からない |
化粧品GMPガイドラインが要求するバリデーション作業の具体化策に不安がある。 | 〈技術不足〉 作業に確信が持てない |
バリデーションを委託できる専門企業が欲しい。 | 〈技術不足〉〈人材不足〉 専門企業が探せない |
バリデーションを理解し、バリデーション作業が出来る人材がかぎられている。 | 〈人材不足〉 本業で無いため専任させれない |
特定の担当者に作業の負担が偏って、残業時間が増加してしまう。 | 〈管理不足〉 残業を少なくする対策が無い |
提案:悩み事解決策
これらの悩みごとを現場に寄り添ってきたから当社だから提案できる解決策があります。
解決策はバリデーション実務の「外部委託」をお勧めしますので、原因解決のために外部委託を検討されてはいかがでしょうか。
ただし、バリデーション実務の結果が第三者を納得させられるかが重要になります。