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倉庫(保管)・輸送におけるバリデーション実務のサポート

医薬品の保管・輸送とバリデーション

2014年6月にPIC/S GDP ガイドラインが発出され日本がPIC/Sに加盟したことにより法的拘束力はありませんが順守すべき項目の一つとなりました。EUではすでに法的規制させています。
PIC/S GDPガイドラインは医薬品の流通過程の品質を確保することを目的としており、この規格の中に医薬品の保管・輸送のバリデーションについて明記されています。

医薬品の保管・輸送で求められているバリデーションで実施すること

PIC/S GDP ガイドラインの規格要求をもう少し詳しく見てみると、
保管については3章の施設及び機器、5.5項 保管で、
製品の品質確保(光、温度、湿度、その他の外部要因による有害な影響からの保護)
保管場所の温度マッピングの実施。
使用する機器の校正。
保管庫のセキュリテ及び在庫管理。

輸送については9章 輸送で、
外装や包装に記載された保管条件を輸送中も維持すること。
どこで温度管理が必要とされるかを決めるために、輸送ルートのリスクアセスメントを用いること。
輸送中の車両または容器内の温度モニタリングで使用する機器を定期的に保守、校正を行うこと。

これらの項目の内容を実務に落とし込む必要があり、規格の内容を読み解くには非常に時間と労力がかかります。

現場でバリデーションを実施するには、規格要求を読み解くことが重要です

実際の現場で規格要求をキチンと実現するにはどうすればよいのでしょうか
それは、それぞれの規格要求を読み解き実施レベルまで落とし込む必要があります。

温度管理は医薬品の製品品質に大きく影響を与えます。
温度管理についての規格要求を見ていきます。 3.3.2 温度及び環境管理については
保管場所の使用前に、代表的な条件下で初期の温度マッピングを実施すること。
温度モニタリング機器は、温度マッピングの結果に従って、
最も変動が大きい位置に温度センサを配置するように設置すること。
リスク評価の結果による重要な変更に際しては、温度マッピングを再度実施すること。
と要求しています。

この内容をどのように読み解き実務に取り入れるかが重要になります。
読み解き方の1つをご紹介します。

医薬品の温度管理を読み解き方

【保管場所の使用前に、代表的な条件下で初期の温度マッピングを実施すること。】

保管場所を使用する前に温度マッピングを実施しなければならないと言うことはわかります。
では、温度マッピングとはどのようなものなのか。

温度マッピングを実施する目的の一つは、温度マッピングの結果からホットポイント、コールドポイントを確認し、そこに温度モニタリング機器を設置、管理していくことにあります。

この目的を達成するために温度マッピングを実施する条件としてワーストケースを洗い出す必要があります。
実施する時期(夏季、冬季)による外気温の影響、空調機の位置や制御、人の出入り、ドアや窓の位置や数、棚の位置や数、このようなことを考慮し、具体的な設置箇所や測定条件を決定していきます。
設置箇所や測定条件を決めることが悩ましいところだと思います。

WHOテクニカルレポートシリーズ No.961に技術補足資料として実施方法が記載されています。

●実施時期
最も暑い月と寒い月の両方で実行されることを推奨
●測定位置と箇所数
間隔は、5~10m
天井高さ3.6m以下は、0.3m、1.2m、3.0mなど3箇所
天井高さ3.6mより高い時は、0.3m、1.8m、3.6m、5.4mなど4箇所
間隔は、5~10m
●測定期間
7日間。季節変動や日中の温度変動の影響がない、
冷凍室などの温度制御ををしているものは、24~72時間
●測定方法
OQとしてはアラームテスト、温度マッピング(無負荷)、電源障害テスト(停電)
PQとしては温度マッピング(通常の負荷状態)、扉開閉時の温度復帰

この様な方法が推奨されています。
また、温度マッピングもバリデーションの一部になりますので計画書の作成から実施、報告書の作成が必要になります。
温度マッピングで得られた結果を基にホットポイントやコールドポイントを温度モニタリング位置として選定し、温度管理していくことになります。

輸送に関する温度管理にも同じ様な記載があります。

9.2.5に温度管理が必要とされるかを決めるために、輸送ルートのリスクアセスメントを用いるとあります。
輸送ルートのリスクアセスメントとは温度マッピングの際に決めた方法と同じくワーストケースを洗い出すことにあります。
医薬品保管の際の温度管理とは違い、輸送時の方が温度変動リスクが多く発生すると思います。
輸送ルート、時期、輸送手段(車輌、飛行機、船など)、積載方法など。
これらのリスクからワーストケースを選定し輸送のマッピングを行う必要があります。

温度マッピングと同じくことらもバリデーションの一部になりますので計画書の作成から実施、報告書の作成が必要になります。

ここまで温度管理について書かして頂きましたが、他の項目についても読み解いていく必要があります。
読み解いていく中で、実際に実施しようとすると様々な課題が生ずることが多くて悩みに尽きないと考えます。

バリデーション実務の悩み事の解決策 →

医薬品の保管・輸送でのバリデーションの実務には多くの悩み事があります

医薬品の保管・輸送でバリデーションを実際に実施する時には多くの悩みごとがあると思います。

PIC/S GDP ガイドラインが要求するバリデーション作業の具体化策に不安がある

PIC/S GDP ガイドラインの中には色々な要求事項が書かれています。
しかし具体的に何をどの様に実施したら良いか分からないため実際バリデーションを現場で進めようとすると多くの悩み事が生まれてくると考えられます。

バリデーションを理解し、バリデーション作業が出来る人材が限られている

バリデーションを実施するには、作業に関わることだけでも、計画書を作成したり、キャリブレーションを行ったり、DQ・IQ・OQ・PQの適格性評価を実施しなければなりません。
それらの作業を現場で確実に実施するには多くの知識が必要になり、多くの人材を育成できないことは容易に想像できます。そのため、どうしても人材が限られてしまいます。

特定の担当者に作業の負担が偏って、残業時間が増加してしまう

定期的なバリデーションや変更時のバリデーションを実施する必要があり限られた人材で作業を実施しようと実務の間に計画書や報告書の作成や測定作業、測定機器の管理など残業時間の増加などが発生してしまいます。

バリデーション専用の人材の確保や測定機器の維持管理することが出来ない

輸送車両の温度マッピングを実施する場合、運送会社様で実施するケースもあり、輸送車両の温度マッピング要員の人材の確保や測定機器を維持管理することが出来ない。

バリデーションを委託できる専門企業がない

バリデーションを外部に委託しようとしても、色々な設備や装置などを専門的に実施している企業はなかなか見つからないのが現状と思います。

…等々の悩み事があると思います。

現場でバリデーションを担当する当社にも、このような様々な悩み事の相談を受けることがありますのでこれらの悩み事はどのような原因や背景で発生しているか考えてみました。

バリデーション実務での悩み事の原因

会社それぞれに環境や状況は当然違いますが、これらの悩み事が生じる原因を想定すると…

バリデーション実務の知識不足

バリデーションの実務知識をを知りたいと思っても、適当な教育機関や教育本もないのが現状だと思います。

バリデーションの作業に関しての技術不足

バリデーション作業に必要な技術は、電気・物理や計装など結構多くの技術が必要で全ての技術を習得することが難しい

人材不足

医薬品を製造するにはバリデーションが必要だが、直接、生産する作業でないため、最低限の人材でしか確保できない。

…が主な原因てないかと考えます。

まとめ:医薬品の保管・輸送における悩み事(関心事)と原因(背景)

医薬品の保管・輸送における悩み事(関心事)と原因(背景)のまとめ

悩み事(関心事) 原因(背景)
バリデーションの知識・技能に不得手な部分があるため、全体の作業品質がアップしない。 〈知識不足〉
どこで勉強して良いか分からない
PIC/S GDP ガイドラインが要求するバリデーション作業の具体化策に不安がある。 〈技術不足〉
作業に確信が持てない
バリデーションを委託できる専門企業が欲しい。 〈技術不足〉〈人材不足〉
専門企業が探せない
バリデーションを理解し、バリデーション作業が出来る人材がかぎられている 〈人材不足〉
本業で無いため専任させれない
特定の担当者に作業の負担が偏って、残業時間が増加してしまう 〈管理不足〉
残業を少なくする対策が無い
温度マッピングに使用する測定器は年に数回の使用頻度だが定期校正が必要 〈コスト〉
測定機器の維持管理費

提案:悩み事解決策

これらの悩みごとを現場に寄り添ってきたから当社だから提案できる解決策があります。

解決策はバリデーション実務の「外部委託」をお勧めしますので、原因解決のために外部委託を検討されてはいかがでしょうか

ただし、バリデーション実務の結果が第三者を納得させられるかが重要になります。

バリデーション実務の悩み事の解決策 →

GMP・ISO9001・HACCP
計測器の校正