No.8 恒温槽の非有効空間温度の実測
『業務に活(ツカ)える情報 No.8』
●実測した”非有効空間とは”
恒温恒湿槽の性能試験方法等を規定した規格(JTM規格 K01:1998)で定義された、
有効空間以外の空間を指す当社独自の呼称です。
>>有効空間は規格に以下のように定義されています。
有効空間の定義 [JTM K01:1998 2.用語の定義 d) ]
槽を構成するそれぞれの壁面から、相対する壁面までの距離の1/6を除く空間。
ただし、最小50mm、最大300mmとする。
■測定を行った条件と結果を報告します
非有効空間の温度を測定した装置
●対象の装置及びスペックは下記の通りです。
・装置 ・性能
名称:恒温槽 温度調節幅 :±0.5℃
型式:MC-71 温度分布 :±1.0℃
シリアルNo.321468
温度試験槽の内寸法、有効空間、非有効空間を図示します
測定位置を図示します
●非有効空間内は、上部[①②]/左側[④⑤]/右側[⑧⑨]/奥側[⑩⑪]の各2点です。
●有効空間内は、上部[③]/左側[⑥]/右側[⑦]/奥側[⑫]/中央付近[⑬]の4点です。
●設置場所の雰囲気温度は、装置周囲に1点[⑭]です。
●測定位置の庫内壁面からの寸法は下記の通りです。
測定の手順を示します。
●構成図
●手順
(1) センサを所定の位置に設置する。
(2) センサを記録計に接続し、PCを記録計に接続する。
(3) 恒温槽を温度測定を行う温度に設定し、運転を開始する。
・・・設定温度は、23℃/32℃/43℃とします。
別の設備で行った、同じ温度(23/32/43℃)の温度分布測定の結果はこちら
(4) 恒温槽内の温度が安定状態に達したことを確認する。
※安定状態・・・測定間隔1分で、2回別々の30分間における平均温度の差が
0.5℃以下の状態
(5) 測定間隔1分で、30分間の測定を行う。
(6) 測定した数値の平均値を結果とする。
(7) 設置した温度センサを取り外し元通りに復旧する。
当測定の結果です
●数値データとグラフから見えてきたこと
(1)庫内中央[⑬]との差異が1℃以上あるのは⑧⑨の2点でした。(※a)
(2)右側壁面の測定点[⑦⑧⑨]は他の面より温度が高めでした。(※b)
(3)中央の温度が庫内で最も低い結果でした。(※c)
■数値データ■
■グラフ表示■
測定結果より分かったこと
(非有効空間の温度は)
●全てではないものの、メーカースペックを満足しないポイントがありました
●設定温度によって庫内の様相が大きく変わる状況がみられました。
▼関連「装置の実験データ」はこちら
No.5 設定温度による温度のバラつき
No.6 性能評価試験方法が新規格に移行
No.27 バリデーションの実施内容 「恒温槽」
No.28 気相での温度センサの熱応答速度(時定数)
No.29 センサの仕様による温度変動の違い
No.30 試験に用いる温度センサの時定数(実測結果)
No.46 準拠する規格の新・旧による結果の違い(JTM規格)
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メールマガジン第18号 恒温槽の非有効空間の温度を実測してみました