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No.30 試験に用いる温度センサの時定数(実測結果)

業務に活(ツカ)える情報 No.29で、規格に記載されている温度センサを用いて
恒温槽の温度変化を測定した結果をご紹介しました。
 https://www.validation-wa-nks.jp/2010/0318_110000.php
実際の温度試験の現場で使用されている温度センサは上記でご紹介した
温度センサとは異なる仕様のモノもあります。そこで、当社が実際に使用
している温度センサの時定数を測定したデータをご紹介します。
 ~~〔時定数〕とは?~~
  測定値の始点と終点の差の63.2%に要する時間をいいます。
  例えば、0℃→100℃の変化を与えた場合、0℃→63.2℃に要する時間が時定数です。
  反応速度の速いものは時定数が小さく、遅いものは時定数が大きくなります。


1.温度測定の方法

1.1 測定に用いた温度センサ
以下の形状、タイプの温度センサを用いました。
HP3001.jpg
1.2 測定条件
測定は以下の条件にて実施しました。
 ●恒温槽
  ・型式  :MC-71
  ・槽内寸法:H:400 × W:400 × D:400 (mm)
 ●記録計(温度の測定)
  ・型式 :DR-230(横河電機製)
 ●PC(温度データの収集)
  ・データロギングソフトウェアはDAQWORX DAQ32Plus(横河電機製)
   記録計で測定したデータをPCにて収集する。
 ●温度センサの設置場所
  下記の環境1で安定した状態から、環境2にセンサを挿入する。
  【環境1 :14.4℃】
   ・恒温槽設置室内の温度
   ・センサ付近の風速は0m/sec
  【環境2 :70.0℃】
   ・設定値:70.0℃
   ・恒温槽内の中央付近
   ・センサ付近の風速は平均0.67m/sec (0.59~0.76m/sec)
1.3 測定システムのイメージ
HP3004.jpg

2.測定した結果(温度センサの時定数)

2.1 上記の条件で測定した結果
HP3002.jpg
 ■ 反応の早いセンサ(熱電対/露出型)と、反応の遅いセンサ(白金測温
   抵抗体/Φ3.2mm)では、時定数が5倍異なる結果となりました。
2.2 測定データのグラフ
HP3003.jpg

3.上記の結果からいえることは

 □ 精度が高い白金測温抵抗体は「5mm黄銅球付き熱電対」と、また
 □ 取扱いがしやすい「先端テフロン皮膜の熱電対」は「Φ3mm黄銅球付き熱電対」と
   似た時定数を持っています。
 □「先端露出型の熱電対」は最も小さな時定数です。
   (主に熱容量の小さいものや、温度変化に鋭く反応することが必要な場合に用います)
 ■ このように、センサは測定条件を考慮して選択する必要があります。


▼関連「装置の実験データ」はこちら
 No.28 気相での温度センサの熱応答速度(時定数)
 No.29 センサの仕様による温度変動の違い
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