No.33 恒温水槽内の温度の安定性(実測結果)
恒温水槽内の温度の安定性(変動の状況)について測定したデータをご紹介します。
1.温度測定の方法
1.1 測定に用いた恒温水槽
・型式 :BZ100D (ヤマト科学製)
・槽内寸法:H:200 × W:300 × D:240 (mm)
・水温調節のヒータ型式 :BF600 (ヤマト科学製)
【 温度の設定値 】 30℃ / 50℃ / 70℃
(写真はヤマト科学(株)様のHPより引用)
1.2 測定に用いた温度センサ
測定には以下のセンサを使用しました。
1.3 測定条件
測定は以下の条件にて実施しました。
●記録計(温度の測定)
・型式 : DR-230(横河電機製)
・記録周期 : 1秒/データ
●PC(温度データの収集)
・データロギングソフトウェアはDAQWORX DAQ32Plus(横河電機製)
記録計で測定したデータをPCにて収集する。
●温度センサの設置場所
・恒温水槽内の下図の位置に温度センサを設置しました。
(①~⑨は記録計のch1~ch9に相当します)
1.4 測定システム
測定に使用した機器と接続イメージは以下の通りです。
2.測定した結果
2.1 測定結果の一覧表(平均値、最大値、最小値)
恒温水槽の温度設定値を30℃、50℃、70℃に設定したときの、各点の温度平均値、
最大値、最小値は以下のようになりました。
2.2 上記の結果を纏めると
□ 温度設定値が 30℃、50℃ の時は、全ての点で最大、最小値の幅が
0.1℃以下であった。
□ 温度設定値が 70℃ の時は、
・上段(⑤⑦⑨)は最大・最小値の幅が0.2℃であった。
・水温調節器(ヒーター)近くの下段(④)も最大・最小値の幅が0.2℃であった。
・水温調節器(ヒーター)近くの点を除く、中段、下段(①②③⑥⑧)は最大・最小値の
幅が0.1℃であった。
3.上記の結果からいえることは
測定した結果より、以下のことが言えると考えます。
□ 上段は設定温度と外気温との温度差が大きくなると、温度の変動が大きくなる
□ 攪拌水流の出口近辺は、ヒーターによる温度調節動作の影響を受けやすい
■ 上記より、恒温水槽を70℃の設定で±0.1℃の条件(試験の温度条件)で
使用するなら、、、
①安定している箇所(①②③⑥⑧)で使用する、あるいは
②安定させるための工夫を行う
必要があります。
※ ②の安定させる工夫については、その内容と効果についての実測結果を後日
ご紹介したいと考えています。
▼関連「装置の実験データ」はこちら
No.28 気相での温度センサの熱応答速度(時定数)
No.29 センサの仕様による温度変動の違い
No.30 試験に用いる温度センサの時定数(実測結果)
No.34 恒温水槽内の温度を安定させる工夫とその効果
▼このページの「メルマガ記事」はこちら
メールマガジン第52号 恒温水槽内の温度は安定しているのか?