No.39 入力配線の抵抗値の違いによる温度表示への影響
■IQシリーズ■ ~IQの段階での問題について~
温度センサの配線抵抗の違いによる温度指示への影響について測定したデータをご紹介します。
1.測定の方法
1.1 測定に用いた温度計
・型式 : DR-230 (横河電機製)
ユニバーサル入力モジュールとの組合せ
・測定レンジ : -200.0~600.0 (℃)
(写真は横河電機(株)様のHPより引用)
1.2 測定条件
測定は以下の条件にて実施しました。
① 温度センサ(測温抵抗体)の出力を模擬的に作るための抵抗器(1台)と、
配線の抵抗を入力する抵抗器(3台)を接続する。
(1.3 測定システムのイメージ参照)
② 各配線の抵抗a/b/cを全て同じ(5Ω)にします。
※配線の太さ 0.75mm2で、200mの長さを想定しました。
③ 抵抗器Ptに検査温度に相当する温度センサの抵抗値を設定する。
④ 抵抗器aを3~7Ωにしたときの、温度計の指示値を読み取る。
(他2台の抵抗器は5Ωのまま)
⑤ ④同様に抵抗器b及びcを3~7Ωにしたときの指示値を読み取る。
(変化させる1台以外は5Ωのまま)
【 検査点 】
・温度 : -200 / 0 / 200 / 400 / 600℃ (相当する抵抗値を入力する)
・配線の抵抗値 : 3~7Ω (5Ω-2Ω ~ 5Ω+2Ω)
1.3 測定システムのイメージ
単純な形で表すと以下のようになります。(図中のPt、a、b、cは6ダイヤル抵抗器です)
上図を一般的に現場でみられる温度計で表すと、以下のようになります。
2.測定した結果
2.1 測定結果の一覧
上の一覧の中から0℃の時を例に、測定値の関係を見てみると以下のようになります。
2.2 測定データのグラフ
検査点(0℃)の時の誤差をグラフに表すと、このようになります。
2.3 結果を纏めると
■ 配線の抵抗aが他の線より大きいと、測定値も大きくなり、他の線より抵抗値が
小さいと測定値も小さくなる。
■ 配線の抵抗bは、配線の抵抗値を変えても測定値は変化しない。
■ 配線の抵抗cが他の線より大きいと、測定値は小さくなり、他の線より抵抗値が
大きいと測定値は大きくなる。(抵抗aと逆の傾向です)
3.測温抵抗体を使う場合の注意点
■ 入力配線(3本)の抵抗値が等しいこと
⇒ 配線の抵抗は『配線に使う電線』と、『端子台や端子等の接続箇所』等で
発生します。電線の抵抗値が異なる状況は稀だと思いますが、接続箇所は
ネジの緩みなどで変化してしまう可能性があります。
■ 温度計の仕様範囲内の配線の抵抗値で使用する。
⇒ 計器が対応できる配線の抵抗値には上限が決まっています。機器の仕様を
確認して、その範囲内で使用する必要があります。
(関連記事:No.37 配線抵抗による温度指示値の変化)
● 入力配線に問題がないか確認するには現場で検査する必要があります。
こちらのページでその検査の種類、やり方について紹介しています。
No.18 据付時適格性確認(IQ)に応用されるキャリブレーション
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