No.42 フリーザー内の温度の偏りと変動
■OQシリーズ■ ~OQの段階での問題について~
バイオやメディカル分野の保存・保管用途でよく使われているフリーザー(冷凍保管庫)。
メーカーの仕様に”到達温度-○○℃”等の表記が見られますが、一般的に『無負荷で中央の温度』と付記されています。
(JISの温度試験でも測定位置は中央付近となっています。※)
では、中央以外の位置や、庫内にモノを入れた状態での温度が一体どうなっているのか?と思い、測ってみました。
(※・・・前後・左右のそれぞれ中央。高さ方向は複数)
1.測定の方法
1.1 測定手順
測定は以下の手順にて実施しました。
① フリーザー庫内に温度センサ(9点)を設置
(測定位置は次項参照)
② データ収集のため、温度センサを記録計に接続する
③ フリーザーを【-80℃】に設定し、運転を開始
④ 温度が安定したらデータを収集する
【 検査点 】
・温度設定値 : -80℃
・負荷物として、箱体を庫内容積の6割程度(目安)に設置
1.2 測定位置
2.測定した結果
2.1 測定データのグラフ
2.2 各測定位置の平均値
2.3 結果を纏めると
■ 設定値に対して、最大+4.3℃の差異があった。(上段 左前)
■ 庫内中央は設定値に近く、温度の変動も少なかった。
■ 上段・下段共に±1℃程度の変動がみられた
(フリーザーの表示は-80℃から変動は見られなかった)
3.使用空間の事前確認
上記の通り、フリーザー内には温度の偏り・変動があるため、使用しているフリーザーでの安定した空間を測って確認しておきます。
■ 例えば、
シビアな保管環境が求められる物の場合は、上記の安定した場所(水色)に置き、
比較的ラフな保管条件でよいものは、その周囲に配置するようにすれば、より適切
な管理とすることができると考えます。
▼関連「装置の実験データ」はこちら
No.28 気相での温度センサの熱応答速度(時定数)
No.29 センサの仕様による温度変動の違い
No.30 試験に用いる温度センサの時定数(実測結果)
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メールマガジン第60号 [保管シリーズ]フリーザー内の温度は安定している!?