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No.43 扉の開け閉めによる庫内温度の上昇

■OQ[保管]シリーズ■
薬品やサンプルを管理温度で保存・保管する等の用途で使われている保冷庫。
普段、物を出し入れする際は内部の冷気が逃げないように、できるだけ扉を開けている
時間を短くするように気をつけています。
でも、人によって気のつけ具合や、許容できる開放時間の感覚は違うので、
扉を開けている時間によって、どのくらい庫内の温度が影響されるのか、調べて
みることにしました。


1.測定の方法

1.1 測定手順
測定は以下の手順にて実施しました。
 ① 保冷庫に温度ロガー(9点)を設置
   (測定位置は次項参照)
 ② 庫内の温度が安定するまで待つ
 ③ 扉を一定時間開放して、閉じる
 ④ 扉を開放する時間を変えて、②③を繰り返す
 【 検査点 】
  ・扉の開放時間 : 5秒/10秒/30秒/1分/3分
  ・負荷物(内容物) : 無し
1.2 測定位置
HP4203.jpg

2.測定した結果

2.1 測定グラフ
■ 一例として、扉を3分間開けた状態での庫内の温度変化のグラフを以下に示します。
HP4303.jpg
■ 扉の開放時間別の温度上昇幅をグラフで表すと以下のようになります。
HP4302.jpg
2.2 測定データ
■ 測定位置ごとの温度は以下のようになりました。
HP4301.jpg
※3回測定の平均値
2.3 結果を纏めると
 ■ 5秒、10秒の開放時間では上昇温度は1℃以下であまり差が出なかった
 ■ 30秒より長くなるにつれ、温度の上昇幅も大きくなる
 ■ 奥側より手前側が、また下段より上段の方が温度が開放中の
   温度が上がりやすかった

3.温度の上昇を抑えるために

上記の通り、保冷庫のドアの開放時間が長くなると庫内温度がどんどん上昇します。
これを抑えるためには以下のような手立てが改善に繋がると思います。
 ■ 作業ルールで対処する
   → 取り出す物を探さないで済むように、整理整頓や置き場所を決める
     できるだけ短い時間で閉めるように注意喚起する
 ◎↑といっても、実際の現場では作業が優先され、開放時間や内部の温度を気にする
   ことは難しいと思います。
 そこで、個人の注意力だけに頼らない対処もとることがベターです。
 ■ 設備に対策を施す
   → 一定時間が経過すると注意を促すブザーが鳴るようにする
     冷気がすぐ逃げないように二重扉の設備を用いる


▼関連「装置の実験データ」はこちら
 No.44 『出し入れ「さっさ」』の製作
 No.45 扉の開け閉めによる保管物の温度変化
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