メールマガジン第64号 [保管シリーズ]同じ装置でも評価結果の値が違う。なぜ?
前回は、[保管シリーズ]の4回目として、保冷庫の扉の開け閉め
による「保管物への温度の影響」をお届けしました。
今回は[保管シリーズ]の5回目として、日本試験機工業会の
新・旧の試験規格で、同じ装置でも算出結果(評価結果)が
違ってくることをご紹介します。
【本 文】
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新・旧の試験規格で結果が違う??
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>> その試験規格とは、温度試験を行う装置の性能を評価するための、
日本試験機工業会のJTM Kシリーズです。
□ 旧規格→規格No.JTM K01/03/05で、対象は「恒温恒温槽等」
□ 新規格→規格No.JTM K07/09で、対象は「温度試験槽等」
・・・☆この新規格では、旧規格に比べ、
より壁に近い点での検査となり、また結果の数値が
実態に近づくなど、使用者が装置のスペックを判断
する際のメリットが大きくなったと感じます。
■ ひとつのインキュベータの温度を測定して、上記の2つの
規格による算出結果の違いを調べてみました。
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新旧それぞれの方法で算出すると…。
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>> 槽内の9ヶ所の温度を設定25℃で測定し算出しました。
▼ 測定方法・データと算出結果は、こちらでご覧頂けます。
https://www.validation-wa-nks.jp/2010/0715_113000.php
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その違いは、最大で「実に5倍以上」!!
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□例えば、空間での温度の偏り(いわゆる温度分布)の結果は、
旧規格:±0.6℃ <<< 新規格:1.6℃ → 約2.6倍
□また、温度の制御性を表す結果は、
旧規格:±0.14℃ <<< 新規格:±0.73℃ → 実に5倍以上
● 同じデータを使って計算しても、こんなに大きな違いがおこってきます。
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「どちらの規格の算出結果か?」確認して下さい。
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>> これらの数値の違いだけでは、装置の良し悪しを判断できません。
上記のことから言えることは、
スペックを「見る」「比べるとき」は、その数値を導き出した
試験の規格も合わせて確認が必要ということです。
■ 特に、現在はJTMの新規格の移行期間中で、新旧規格のいずれも
有効であるため、注意が必要です。
※ 上記の算出結果は一例であり、差異の出方は機種・設定により
異なることが考えられます。