No.61 オートクレーブでの熱浸透測定(実測結果)
オートクレーブで、対象を一定時間、高温状態にして滅菌する場合、対象のサイズや
全体の量により滅菌温度まで昇温に要する時間が異なります。
その為、確実に滅菌されていることを保証するためには、その工程を実際に使用
する状態での検証が重要と考えます。
今回は、負荷物の量・状態が異なる場合に、被滅菌物の温度がどのように推移するのか
その温度データを一例としてご紹介します。
~~〔滅菌〕とは?~~
あらゆる微生物を完全に殺滅又は除去する状態を実現するための
作用・操作をいいます。
1.温度測定の方法
1.1 測定に用いた温度センサ
以下の形状、タイプの温度センサを用いました。
1.2 測定条件
測定は以下の条件にて実施しました。
●オートクレーブ
・槽内寸法:Φ370mmの円筒型
・設定温度:122℃
●記録計(温度の測定)
・型式 :DR-230(横河電機製)
●PC(温度データの収集)
・データロギングソフトウェアはDAQWORX DAQ32Plus(横河電機製)
記録計で測定したデータを10秒おきにPCにて収集する。
●温度センサの設置場所
◆パターン1:容量による温度推移の違い◆
①液体培地 20ml
②液体培地 100ml
③液体培地 1000ml
◆パターン2:負荷量の違いによる温度推移の違い◆
a.少ない負荷量 (培地量合計200ml)
①液体培地 100ml
b.多い負荷量 (培地量合計4000ml)
①液体培地 100ml
◆パターン3:測定対象による温度推移の違い◆
①液体培地 1000ml
②容器内の空間温度(半密閉培地容器)
2.測定した結果
2.1 [パターン1:容量による温度推移の違い]の結果
■測定システムのイメージ
■測定データのグラフ
2.2 [パターン2:負荷量の違いによる温度推移の違い]の結果
■オートクレーブ内のイメージ
■測定データのグラフ
2.3 [パターン3:測定対象による温度推移の違い]の結果
■オートクレーブ内のイメージ
■測定データのグラフ
3.上記の結果からいえることは
□ 液体培地の容量が多くなるに従い、滅菌温度に達するまでの時間が長くなります。
● 従って、オートクレーブは事前に想定される最も厳しい条件(負荷物の量、内容等)で
検証しておくことが、使用時の滅菌状態の保証で重要になると考えます。
● また、温度が高くなりすぎると滅菌物に影響が出る場合などは、少ない負荷物量での
検証も重要と考えます。
▼関連「装置の実験データ」はこちら
No.28 気相での温度センサの熱応答速度(時定数)
No.29 センサの仕様による温度変動の違い
No.30 試験に用いる温度センサの時定数(実測結果)
No.32 オートクレーブでの熱浸透測定(実測結果)
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メールマガジン第83号 [OQシリーズ]オートクレーブ内の各部温度の特質