No.99 熱電対(温度センサー)の接続の誤りにより起こる事
[設備の初期導入時にあったケース]
温度計の校正を行うため、温度センサーを目的の熱源に挿入したところ、
熱源の温度と全く異なる温度が表示された。
⇒原因は「温度計の端子台での、接続間違い」でした。
今回は端子台で接続を間違えた場合、どのような影響が出るのか測定してみました。
1. 測定の方法
1.1 測定に用いた温度計
・型式 : SDC26 (山武製)
・測定レンジ : T熱電対入力(-199.9~400.0℃)
1.2 測定方法
測定は以下の方法にて実施しました。
①温度センサ(T熱電対)の出力を模擬的に発生させる装置を、補償導線を介して
温度計に接続する。
②検査点の温度に応じた信号を出力し、指示値を読み取る。
・温度センサ由来の誤差を排除するため、模擬信号による検査としました。
【検査点】 0~100℃まで、10℃おき
※T熱電対の各温度に対応する信号を入力する。
1.3 測定したパターン
2.測定した結果
2.1 入力した温度に対する指示値の誤差結果
上記の結果から、
□室温付近はパターン間の温度差が少ない
□センサ又は計器の端子台で接続を間違えると、正しい接続(パターン1)と
真逆のデータ(反比例)になる。
□センサと計器、両方の端子台で接続を間違えると、正しい接続(パターン1)と
同じようなデータになるが、若干高い(約2℃)値になる。
2.2 入力した温度に対する指示値のグラフ
□ 24℃付近が各パターン間の誤差が少ない事が分かります。
従って、温度センサが室温付近の場合、その指示からでは誤った接続に気づかない
可能性があります。
⇒接続が正しい状態か確認するためには?
方法1.温度センサ、計器の端子台で+極、-極が正しく接続されていることを
目視確認する。
→但し、これだけでは種類のある温度センサと補償導線のマッチングの
確認や、見間違い・勘違いなどからの誤りを防ぐ事が難しい場合が
あります。
方法2.”現場から”温度センサの信号を模擬的に入力して指示を確認する。
→温度センサを除く、測定経路の正しさを確認できます。
方法3.温度センサに実際に温度を与えて確認(校正)を行う。
→温度センサを含めた測定経路全体の正しさの確認ができます。
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No.56 熱電対(温度センサー)の誤った工事により誤差が出るケース
No.26 ループ校正とは、何?
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