バリデーション関連メルマガ第143号 [OQシリーズ]磁石からの距離による磁力の変化
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[OQシリーズ]磁石からの距離による磁力の変化
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今回は、製薬の工場で広く使われている「磁石で原料などに混入している
異物を取り除く磁性異物除去装置」の関連情報をお届けします。
【本 文】
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鉄などの異物は磁石にくっついて取り除かれる。
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>> この「磁性異物除去装置」では原料などに混入した磁性異物が磁石の
近くを通る時に、離れた磁石に”飛ぶようにくっついて”除去されて
いきます。
この”くっつく力”には、「磁石の強さ」とか「磁石からの距離」など
が影響することは容易に想像できますが、どれぐらいの影響があるのか、
具体的なデータを持っていませんでした。
■ そこで、距離による磁力の強さがどんな関係のデータになるか?実験で
調べてみることにしました。
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少し離れるだけで、磁力は急激に低下しました。
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>> 今回の実験は、磁石からの距離(高さ方向)による磁力の強さを
測定しました。
▼ 測定方法と具体的なデータは、こちらでご覧頂けます。
https://www.validation-wa-nks.jp/2012/0322_110000.php
■ 実験に使用した2つの磁石では、1cm 程度離れると極端に磁力が
低下することが分かります。
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磁石に磁性異物が付着していないから原料は問題ないか?
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>> 今回の実験から推測すると「磁性異物除去装置」の磁石でも、同じ様な
ことが起こりえると考えられます。
例えば、メンテナンス時などに磁石の位置が遠くにずれてしまえば、
磁性異物が確保できなくなることも考えられます。
また、一般的には、磁石の磁力は、使用条件で異なりますが年に
1~数%程度減磁するとも言われています。
■ 即ち、”磁性異物が磁石に付着していないから、製造ラインは問題ない”
という認識は危険ということになります。
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危険を避けるには、磁力の強さを定期的に測定することが重要
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>> 使用状態での磁力の低下は、目に見えないものなので、これらの危険を
避けるためには、使用状態での定期的な磁力測定をお勧めします。
● 当社では、フィールドでバリデーションの実務を行ってきたこの様な
ノウハウで、どんな環境においても正しい数値をお届けする努力を続けています。