No.133 全浸没タイプ温度計の露出による温度差と補正の例
1. 測定の概要
本来、温度計の示す位置まで液に沈めて使うタイプのガラス製温度計を、一部しか沈めずに使用すると、本来の使い方で測定した値と差が出ます。
この差に対し「露出部分の補正」という方法で「補正」した場合、本来の方法で測定した値とどのような違いが出るかを確認します。
1.1 測定対象
・型式 : H-6S (シンワ製)
・測定範囲 : -35~50℃
・精度 : ±1℃
・寸法は、φ6mm、長さ300mm
■今回測定したガラス製の棒状温度計→
指示する目盛りまで対象の液に挿入して
使う『全浸没タイプ』です。
その他のタイプはコチラで紹介しています
1.2 測定の方法
①恒温水槽にPPボールを浮かべる。
(槽表面からの放熱を防止し、槽内温度を均一にする)
②恒温水槽の温度を30℃に設定して運転を開始する。
③恒温水槽の温度が安定したら、温度計を水槽内に目盛下端(-35℃)まで挿入し、
指示を読み取る。
④次に、温度計を水槽内に、赤色液が指示する目盛まで挿入し、指示を読み取る。
⑤恒温水槽の温度を50℃に設定し、同様に『目盛下端』と『指示目盛』まで挿入し、
指示を読み取る。
⑥砕氷と水で0℃にした保温瓶を用意し、同様に指示を読み取る。
⑦各測定値を読み取る時、温度計の露出部分の温度を別の温度計で測定する。
⑧露出部分の補正(1.4項参照)を行って補正値を算出し、測定値を補正する。
【検査項目】
設定する温度 : 0℃ / 30℃ / 50℃
測定する挿入長 : 目盛下端(-35℃) / 赤色液が示す指示部
1.3 測定の状況
1.4 露出部分の補正
補正式は以下の通りです。
ΔT=nK(T-ts)
ΔT:補正値 (測定値に加える値)
n:感温液の露出部分の度数 (感温液柱の露出部の長さを1度の目盛間隔で除した値)
k:感温液のガラスに対する (赤液の場合は1/900)
見かけの熱膨張率
T:示度 (温度計の読み値)
ts:露出部温度 (周囲の温度。今回は27℃)
2. 測定の結果
□それぞれの基準値との誤差をグラフにすると以下のようになります。
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