バリデーション関連メルマガ 第172号 自記式温湿度計による設置姿勢による指示誤差!
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自記式温湿度計の設置姿勢による指示誤差!
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今回は、お問い合せを頂くことが多い、製薬工場などの生産現場や実験室など、
温湿度管理が特に重要視されるところで多く使用されている「チャート(紙面)に
記録できる自記式温湿度計」の設置姿勢による指示誤差についてご紹介します。
【本 文】
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自記式温湿度計はどれくらいの水平状態で使わなければならないのか?
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>> この自記式温湿度計の取扱説明書には、「傾斜のある場所では使用しない」
「水平に設置可能な場所を選定する」などが設置上の注意点として記載
されています。
その為、「どれくらいの水平状態で使わなければならないのか?」という
お問い合せを頂くことになると考えられます。
□ 実際、どれぐらい傾いたら拙いのかを、メーカさんに問い合わせて
みましたが、そのようなデータを開示して頂けませんでした。
※ そこで、「温湿度計の傾き」と「指示誤差」の関係を調べてみること
にしました。
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傾斜で大きな誤差がでると予想したが・・・。
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>> この実験は、自記式温湿度計を温湿度が安定したところに置いて、傾斜
による温度・湿度指示値の変化を調べました。
▼ 測定方法とデータは、こちらでご覧頂けます。
https://www.validation-wa-nks.jp/2012/1025_110000.php
このように、傾斜による誤差がでましたが意外小さく、測定精度内に
収まっていました。
具体的には、9°以内で、「温度で約0.1℃」「湿度で約0.2%」の誤差が
発生しました。
□ ちなみに、この誤差が生じる原因のひとつとしては、自記式温湿度計を
構成する小さな部品ひとつひとつが、微妙なバランスで働いている
ためと考えられます。
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自記式温湿度計は使用場所の傾斜を確認することが重要!
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>> 今回実験に使った温湿度計は、18°傾けても、測定精度内に入るが
「温度で約0.2℃」「湿度で約1%」の誤差になり、正しく測るには
やや問題になってくると思います。
即ち、自記式温湿度計は傾斜によって誤差がでますので、傾斜が測れる
勾配計などを使って、設置場所の傾斜をキチンと測っておくことも大事に
なると考えます。
□ この様に、機器を設置した時には、機器に要求する性能が間違いなく
実現できる据え付けになっていることを確認することが重要になります。
■ この設置時に確認することを、GMP規格等で要求されるバリデーション
では、据付時適格性の確認(IQ)と呼ばれています。
※ 当社は、この様な設備・装置に求められているバリデーション作業を
幅広くご支援しています。