第216号 微量液体中の温度測定方法の検証(1)
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微量液体中の温度測定方法の検証(1)
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前回のメルマガでは、「機器の校正の間隔は?」というご質問の解決案を
お届けしました。
今回は、今まで、測定が難しいと考えていた微量液体中の温度測定方法を
検証します。
【本 文】
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微量液体中の測定とはどんなことか?
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>> ご存知のように、極々少量の液体の温度を正確に測定することは、
難しいと言われています。
今回は、その一例として、以下のようなマイクロプレートを使った
時の温度測定で確認します。
□ マイクロプレートとは、縦横約9cmx12cmで、高さが1.5cmの透明
プラスチック製の検査用具で、一つのプレートには96個のくぼみ
(ウェル)があり、その一つ一つが小さな試験管のような役割を
します。
また、このひとつのウェルの容量は、0.2ml(ミリリットル)と
微量になっています。
実際には、このウェルに検査サンプルを入れ、それぞれの検査法に
従って試薬を反応させる等に使われています。
※ 今回の実験は、ウェル内の液体の温度を測定する方法を検証して
みました。
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恒温水槽の温度が高くなると誤差が大きくなる!
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>> 実験の方法は、ウェルに水を入れたマイクロプレートを恒温水槽に浸して、
そのウェル内の温度を”3種類の温度センサ”で測定しました。
また、恒温水槽の温度は、30/50/70/90℃の4ポイントで
実験しました。
▼ 実験の方法とデータは、こちらでご覧頂けます。
https://www.validation-wa-nks.jp/2013/1010_110000.php
□ この実験結果では、
・恒温水槽の温度が高くなると、どのセンサも誤差が大きくなり
・また、3.2φのセンサは極端に誤差が大きくなる
ことが分かりました。
しかし、センサ径が細い(0.5φ)ものは、50℃までは、誤差が
ゼロとなっていることから、もっとも正しく測定できる方法だと
考えられます。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。また、センサの性能を規定または保証するものでは
ありません。
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この実験での誤差の原因と対策を考えてみます
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>> 実験結果から、恒温水槽の温度と外気温(26℃)との差が大きくなると
誤差が大きくなる原因は
□ 恒温水槽の温度が高い程、センサの感温部近くの表面からたくさんの
熱が逃げる(放熱する)と考えられます。
※ 対策として、マイクロプレートの表面に、断熱材を設けて放熱を防ぐ
ことが効果がありそうと想定できます。
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次はこの対策を行って実験します。
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>> この対策をすることで、恒温水槽の温度が高くなった時の誤差が改善
出来ることを期待して、実験を進めます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を
続けています。