第254号 チューブ式定量ポンプの流量は送液温度によって変わるか確認しました
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チューブ式定量ポンプの流量は、送る液体の温度に影響されるのか?
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>> 今までの2つのメルマガでご紹介したように、今回実験に使用した
チューブ式定量ポンプは、直線性、再現性とも高い能力を
持っていることが分かりました。
今回は、少し視点を変えて、送液の温度に関した実験をしました。
□じとじとした梅雨も明けて、灼熱の夏がやってきました。
ポンプで送る液体も直射日光等で温められ、液温が上昇することが
容易に想定できます。
■ そこで、今回は送液温度の変化に注目して調べてみました。
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液温が5→50℃になっても、実流量のバラツキは極めて小さなものでした。
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>> 今回の実験は、チューブ式定量ポンプの
(1)電圧電流発生器で電圧を2.5Vに設定し、設定流量を固定する。
(2)恒温槽を使って、液体を所定の温度に暖める。
(3)恒温槽内液体容器⇔ポンプ間で、液体を循環させ温度を一定にする。
(4)十分な時間が経ったら、送り出された水(湯)をメスシリンダーで受ける。
(5)メスシリンダーが満タン(体積:50ml)になるまでの時間を
ストップウォッチで測定し実流量を確認する。
[測定に使ったメスシリンダーとストップウォッチの仕様]
1.メスシリンダー
メーカ : SIBATA
型式 : 50ml
精度 : ±0.25ml at20℃
2.ストップウオッチ
メーカ : セイコー
型式 : S051-4000
■ 実験結果から
温度が変わっても流量はほとんど変わらない(最大で0.6ml/min)ことが
分かりました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異
なります。
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チューブ式定量ポンプの認識が変わりました。
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>> 正直、弾力性のあるチューブをローラでしごいてチューブ内の液体を
押し出すような構造のポンプだとそれほど実流量が安定しないもの
だと思っていましたが
3回の実験をやってみて
①設定流量を増やすと実流量も同じように増えていく
②設定流量を上げ下げしても同じ実流量になる
③送液温度が変わっても実流量はほとんど変わらない
と安定していることが分かりました。
■しかし、設定流量と実流量の差(今回の実験では50~60ml/min)が
大きいため、チューブ式定量ポンプを使用する時には、都度、
現状の実流量を測定する必要があるということは忘れてはならないと
考えます。
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この測定をバリデーションの業界では「OQ」「PQ」と呼ばれています。
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>> ご存知のように、設備・装置のバリデーションの業界では、
今回ご紹介した実験の
・試験水での測定を運転時適格性評価:Operational Qualification(OQ)
・実液での測定を性能適格性評価:Performance Qualification(PQ)
と呼ばれています。
■ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂けるOQ、PQ作業をお届けする努力を
続けています。