第256号 低温フリーザーの扉開閉時の庫内温度変化(無負荷時)を測定しました。
——————————————————————
扉の開放時間は、どれぐらいまで大丈夫か知りたい!
——————————————————————
>> 実験に使った低温フリーザーは、バイオや医療業界で、遺伝子研究や生物
学的製剤の保存に使われるものです。
□ この低温フリーザーを現場で使用される人は
保存対象に影響しない扉の開閉時間を知りたいと考えます。
■ そこで、今回は、この低温フリーザーの無負荷状態(庫内に保管物を
入れない状態)で扉を開閉したときの庫内の温度変化を測定しました
のでご紹介します。
——————————————————————
「庫内14ヶ所と本体付近(室温)」と多くのポイントをモニタリングしました。
——————————————————————
>> 実験のやり方は
1.庫内14ヶ所(ロードライン付近:6ヶ所、中央付近:3ヶ所、底部
付近:5ヶ所)と本体付近(室温)に温度センサを取り付ける
2.低温フリーザーの操作部(デジタルコントローラー)を”-85℃”に
設定する
3.庫内温度が安定することを”データ収集用PC”で確認する
[使用測定器の仕様]
①データ収集装置
メーカ : 横河電機
型式 : DA100
②温度センサ
センサ⑤~⑦,⑨,⑭ : シース測温抵抗体 Φ1.6 クラスA
センサ⑧ : シース測温抵抗体 Φ3.2 クラスB
センサ①~④,⑩~⑬,⑮ : テフロン被覆T熱電対 クラス1
——————————————————————
まず、安定状態から3分間開放→やはりロードライン(積荷限界線)付近が
最も上昇しました。
——————————————————————
>> この実験は、庫内温度が安定したことを確認後、扉を開放し、3分後に
扉を閉めました。
この開放状態の3分間の温度変化に注目しました。
■ 実験結果から
・ロードラインより上のセンサ(①②③④⑤)は、予想通り、結構温度が上昇
しました。最も上昇したのは、四隅右手前の④は30℃近く上昇しました。
・しかし、ロードラインより下は、3分経っても、ほぼ-80℃付近を保持して
いることが分かり、少しビックリしました。
——————————————————————
次に、開放してから3分間後に扉を閉める→30分後には開放前に戻りました。
——————————————————————
>> この実験は、扉を閉後の30分間の温度変化に注目しました。
[測定の結果]
■ このように、扉を閉めて30分経過すると、全てのポイントで-80℃付近に
戻ることが分かりました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異
なります。
——————————————————————
皆さんの現場に見合った開閉時間のルールづくりが出来ます。
——————————————————————
>> このようなデータを採ることで
・お使いの低温フリーザー固有の庫内温度の振る舞い方が分かり
・具体的な運用の仕方がハッキリしてくるので
・安心して使うことができる
という好循環が生まれてくると考えます。
■ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けて
います。
※メルマガ配信時、本ページ中の測定データ「(2)3分開放後,30分間の
測定データ」において、閉止直前の温度と閉止30分後の温度が
逆になる誤りがありました。
読者の方から連絡を頂き、修正しました。(2014.08.21 19:30)