第261号 低温フリーザーの庫内各ポイントの温度変化を測定しました。
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細胞保存に使われる低温フリーザーの温度変化に注目しました。
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>> 皆さんもご存知のように
世界初iPS手術が先端医療振興財団先端医療センター病院で
実施されたと報道されました。
このニュースは、京都大学の山中慎弥教授が世界に先駆けて
マウスの細胞からiPS細胞を作り出したのが2006年。
いよいよ医療応用に向けた動きが本格化するというものです。
□ 今回は、このような細胞の保存用に使われる低温フリーザーの
温度変化に注目してお届けします。
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低温フリーザー庫内に何も入れない無負荷状態で温度変化を測定しました。
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>> 実験のやり方は
1.庫内13ヶ所(ロードライン付近:6ヶ所、中央付近:4ヶ所、
底部付近:3ヶ所)に温度センサを取り付ける
2.低温フリーザーの操作部(デジタルコントローラー)を”-85℃”に
設定する
3.データ収集用PCで温度データを収集する。
[使用測定器の仕様]
①データ収集装置
メーカ:横河電機
型式:DA100
②温度センサ
①~④、⑨~⑫:テフロン被覆T熱電対クラス1
⑤~⑦、⑬ :シース測温抵抗体 Φ1.6クラスA
⑧ :シース測温抵抗体 Φ3.2クラスB
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扉に近い場所の温度変化が最も大きいことが分かりました。
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>> この実験結果のデータとグラフです。
測定の仕方は、庫内が安定した状態で各点の温度を1分おきに1時間測定を
行い、平均温度、最高温度、最低温度を求めました。
また、表中の温度差は最高温度と最低温度との差になります。
■ 実験結果から
・温度変化は、上、中、下段のどのポイントも、上下変動を繰り返した。
・だけど、扉近くのロードライン付近の上段温度は、中下段より、
温度変化は3~4倍大きくなった。(但し、⑥のロードライン下の
中央付近を除く)
□(これらのデータからは)
この低温フリーザーの温度変化は小さく、結構、安定した性能を持っていると
感じました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
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細胞の保存条件に見合った保存場所を決めることが重要と考えます。
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>> 低温フリーザーの構造や庫内の形状によっても温度変動の差がでると
思われますが、今回実験に使ったフリーザーでの保存条件は
・中段と下段が温度が結構安定していて、保存の条件が最も良いこと
・また、ロードライン付近でも、中央付近であれば、中下段と同等の
条件で保存できることも分かりました。
□ こんな感じに、皆さんの目的に合った保存場所をハッキリさせて、
使用されると良いと考えます。
■ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。