第265号 現場からのご質問の解決策を(一緒に)考えてみます。(3)
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設備・装置メーカさんから頻繁に頂くお問い合わせです。
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>> 製薬メーカさんに設備・装置を納入しているメーカさんからの
お問い合わせで納入先からバリデーションの対応も求められるが、
見積もり時点で、どのように対応したら良いか分からないという
内容です。
□ 今回は、このご質問について考えてみます。
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最初に、バリデーションの実施責任について考えてみます。
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>> 規格の話になりますが、
製薬メーカさんが使用される設備・機器は、GMPのバリデー
ション基準に従ってバリデーションを実施しなければならないと
なっています。
また、このGMP規格は、製薬メーカさんに要求している規格で
あって、設備・装置メーカさんが守らなければならない規格では
ありません。
注)コンピュータ化システムの場合は設備・装置メーカーさんが一部
分担する場合があります。
□ 従って、設備・装置メーカさんの自社製品であっても、バリデー
ションの実施内容や実施方法などは、製薬メーカさんが責任を
もって決めて実施しなければならないと言うことになります。
■ しかし、現実的には、製薬メーカさんのスタンスや製薬業界の
内部事情から、設備・装置メーカさんに委託されることが
多くなっていると感じています。
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自社製品の標準的なバリデーション仕様を決めておくことが大事と思います。
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>> 製薬メーカさんからバリデーションを委託されたら、まずは、本来の
責任元の製薬メーカさんからバリデーションの仕様を入手する
スタンスでいた方が良いと思います。
□ 業務の都合で、バリデーションに関する要求仕様が製薬メーカさん
から入手できない場合を考えて、設備・装置メーカさん独自で
自社製品のバリデーションの仕様を決めておくのが良いと考えます。
[設備・装置メーカさんへのプチ情報]
設備・装置メーカさんによっては、このようなバリデーション仕様を
まとめた資料を使って、バリデーションを提案することで、他社との
差別化をされているようです。
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バリデーション実施計画書に盛り込む3つのポイント!
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>> 設備・装置メーカさんとして対応しておくことは、自社製品のバリデー
ション仕様を規格要求に沿ったバリデーション実施計画書として
作成することが重要だと考えます。
■ 設備・装置メーカさんが作成するこの計画書に盛り込む3つのポイント
①何をバリデーションするのか
設備・装置のもっている(与えた)機能(働き・作用)が
該当します。
②どんな状態であれば良いか
期待される結果がどの範囲であれば良いか決めます。
③どんな方法で検証するのか
現場で実施できる検証の仕方(手順)を決めます。
※ 設備・装置メーカさんとしては、この3つのポイントなどを
盛り込んだバリデーション実施計画書を作って、製薬メーカさんに
提示できるようにしておくことが大事と考えます。
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設備・装置メーカさんにお勧めする対応の仕方を考えました。
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>> もし、製薬メーカさんからバリデーションを込みで対応して欲しいと
要求がありましたら
ステップ1は、バリデーションの要求仕様書がもらえないか
問い合わせして下さい。
もし、入手できなければステップ2として、設備・装置メーカさん
独自のバリデーション実施計画書を提示して、その内容で良いか
製薬メーカさんに確認しておくことが大事だと考えます。
□ どちらのステップでも良いと思いますが、必ず、事前にバリデー
ションの仕様を明確にする必要があると考えます。
但し、見積もり段階でキチンと仕様が決定できない等の状況に
よっては暫定版でも良いと思います。
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次回も、ご質問の解決策を考えてみます。
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>> 次回は、設備・装置メーカさんの製品がコンピュータで制御されて
いる設備・装置のバリデーションについて考えてみます。
※ 当社は、フィールドでバリデーションを実施する立場から、規格の
要求内容や定義を具現化(具体化)して、お客様に満足して頂ける
作業をお届けする努力を続けています。