第272号 [再実験]湿度校正用塩化リチウム溶液を温かいままで保存する工夫!
実験動機のおさらい
・湿度計の現場での校正方法の一つに、「湿度校正用溶液」を活用する
方法がある。
・塩化ナトリウムなど塩類の飽和水溶液で特定の湿度を作ることができる。
・その中の「11%RH」の塩化リチウム水溶液は「18℃以下」の温度に
なると、発生する湿度値が変化してしまう問題がある。
特にこの時期、普通に運搬するとあっという間に冷えてしまうので、
「18℃以下」にせず、現場まで運搬する保存方法を考え、実験して
みました。
※ちなみに、前回実験した保存方法では18℃以下になって
しまいました(失敗)。
「前回の失敗原因」と「今回の対策」!
□ 前回の保存の仕方の原因とその対策を考えました。
■ このような対策をとって、前回同様に、5℃の保冷庫に入れて、
溶液が18℃以下にならないか調べます。
ヒータ(ネックウォーマー)を応用した保温BOXを作りました。
□ 図のように、「ネックウォーマーで包んだ湿度校正用溶液」を発泡性
緩衝材で覆い、発泡スチロールBOX内に入れて保温します。
①発泡スチロール:
幅:25cm 高さ:20cm 奥行き:20cm 厚み:1.8cmのものを
選びました。(各寸法はおおよその数値です。)
→前回使ったものと同じものです。
②ヒータ(ネックウォーマー):
大きさが55mm×560mmの帯状の約1Wのヒータを単三電池2本で
暖めます。
5℃の保冷庫に入れて、温度が下がらないか調べました。
□ 湿度校正液を入れた発泡スチロールBOXを保温庫に入れて、
各点の温度をモニタリングしました。
[測定システム]
[使用測定器の仕様]
データ収集装置
メーカ:横河電機
型式:DA100
温度センサ
①~③: テフロン被覆T熱電対 クラス1
思ってたような結果になり「ホット」しました。
>> この実験結果のデータとグラフです。
■ 実験結果から
A:発泡スチロールBOXを保冷庫内に入れた途端、BOX内の温度②は
急激に低下したが、溶液の温度①は、なだらかに上昇した。
B:予定通り、約4時間後にはバッテリー切れで、溶液温度①が低下
しだした。
→電池で発熱するヒータ(ネックウォーマー)の効果は絶大でした。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
実際の現場作業に使えることが確認できました。
□ このように、ヒータ(ネックウォーマー)を応用することで、
湿度校正用の塩化リチウム溶液の保存温度が18℃以下に
下がらないことが確認できました。
□ 今回実験した保存の仕方は
・発泡スチロールBOXなど、身近なところで入手できるもので
保存できる。
・電池の容量を増やせば、必要な保温時間まで延ばすことができる。
など、使い勝手のよい方法と考えます。
■ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けて
います。