第274号 湿度計校正時の指示変化の仕方を調べました。
湿度校正用溶液を使った湿度計校正で気になったこと
>> 当社では、製薬業界やビル空調など幅広く活用されている湿度計の
現場での校正方法のひとつに「湿度校正用溶液を使用する方法」を
使っています。
この校正方法は
塩化ナトリウムや塩化リチウムなどの塩類の飽和水溶液を湿度の
標準にして湿度計を校正する方法です。
□ この方法で、湿度計を校正する場合、メーカによっては、
低湿度→高湿度の順番に実施することが求められています。
そこで、指定されているからには”何か”あるのでは?と考え、
湿度値の「低い方から高い方」と、あえてそれと逆の順番である
「高い方から低い方」と順番を変えた時の、湿度計の指示値の変化の
仕方を調べてみることにしました。
時間毎の湿度指示値を測定しました。
>> 低湿→高湿と高湿→低湿と2つの順序で実験しました。
実験の仕方は
①3種類(11.3、33.1、75.5%RH)の湿度校正液
(湿度校正用溶液)を準備する。
②湿度センサ(プローブ)を湿度校正器に挿入し、指示値の安定を
確認する。
③次の湿度校正器にセンサを入れ替えし、5分毎の指示を1時間
測定する。
④各順序で3パターン順次測定する。
[使用測定器の仕様]
湿度計
メーカ:ヴァイサラ
型式:MI70/HMP77B
仕様:0~100%RH、-50~120℃
精度:1.0%RH、0.2℃(今回の試験環境での精度)
>> この実験結果です。
>> この実験結果のグラフです。
■ 実験結果の2つのグラフを見比べると
①「低湿→高湿」と「高湿→低湿」の2つの順序とも、変化の
仕方はほぼ同じ
②また二つとも、30分程度で安定しだして、60分経つと安定
したと思われる
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により
計測値は異なります。
実際に確認する前は、「高湿→低湿」時の方が安定に時間が
掛かるなど、目立った変化の差がでるのではないか?と想定
していたので、この実験でそれほど違いがなかった事は意外でした。
60分程度は安定時間が必要と考えられます。
>> 今回の実験結果から
グラフ上では5分後にはかなり入れ替えた先の湿度に近い結果と
なっていますが、数値を見ると徐々に変化しています。
周囲環境や測定条件にもよると思いますが、
現場での湿度校正時には、60分程度の安定時間が必要と考えます。
※ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を
続けています。