第276号 乾熱滅菌器の適格性評価作業時に装置が停止した!
初めに、乾熱滅菌(器)について記します。
>> ご存知のように、乾熱滅菌は、160℃~200℃で、30分~2時間
加熱することにより微生物を不活化させる滅菌法です。
乾熱滅菌に使われる装置としては、一般的に電気ヒータで加熱し
指定された温度を維持する方法が用いられます。
今回は、このような乾熱滅菌器導入時の適格性評価を行ったときに
起こった装置停止の要因を探ってみました。
こんなやり方で乾熱滅菌器の適格性評価試験を行いました。
>> 乾熱滅菌器内の棚板に被滅菌物の量と置き方を変えて、所定の
温度・時間で運転して被滅菌物内の温度を測定しました。
パタンA:被滅菌物を隙間なく目一杯載せた
パタンB:被滅菌物を隙間を作ってまばらに載せた
[適格性評価試験の状態]
被滅菌物の量と置き方で実験結果は大きく違いました。
>> パタンBは問題なく滅菌できたが、パタンAは途中で温度異常で
装置が停止した。
[下段負荷物の温度推移のグラフ]
■ 装置停止の要因は
高温により過熱防止用の温度センサが動作して装置を止めたと考えます。
これは棚に載せた被滅菌物間に隙間がなく、
①電気ヒータで発生した熱が上昇せず、温度制御用センサに届かないため、
(装置は設定温度未到達で昇温が必要と判断)
②電気ヒータが昇温し続け、
③電気ヒータと棚の間に熱がこもって異常に高温になってしまった
と思います。
□ このように、被滅菌物の量や置き方により、滅菌できないケースが
起こることがあります。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
適格性評価は置き方等も考慮した使用条件でのテストが重要と考えます。
>> この実験のように、装置が停止することは希なことだと思いますが
やはり、乾熱滅菌器で滅菌する被滅菌物の量や置き方等も考慮した条件で
滅菌できることを確認しておけば安心して装置を使うことができると
思います。
※ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。