バリデーション@エヌケイエス株式会社 NKS

NKSバリデーション関連業務のエヌケイエス株式会社

ISO9001に準じた運用システム(QMS)でバリデーション(適格性評価)のサービスを専門にご提供

バリデーションに関する相談窓口
電話でのお問い合わせ
052-522-2184
メール送信フォームからお問い合わせ

第278号 こんな測定原理の微差圧計もあります。

思いもよらない微差圧計の測定原理がありました。

  ご存知のように、製薬などのGMPでのキャリブレーションでは、
  現場に設置した状態で微差圧計のキャリブレーションを行う
  必要があります。
  ~因みに「微差圧計」とは~
  クリーンルームの室間の圧力差(室間差圧)などの制御・管理の
  ため、僅かな圧力差の測定を目的として使われる計器です。
 今回は、仕様等を決めて、従来の微差圧計同様に、必要な標準器を
 準備し作業を開始したものの、対象の微差圧計に加圧できず作業を
 中断しました。
□ 中断した対象機器に加圧できなかった理由を調査をすると、
  差圧測定の原理が従来の微差圧計と違うらしく、従来の方法では
  キャリブレーションが実施できないことが分かりました。
 ※ このような新しい微差圧計の測定原理があることに驚きました。
   そこで、新たにこの機種につかえるキャリブレーション方法を
   考えることにしました。

まず、今回の対象機器の測定原理を考えてみました。

>> 従来の機器と今回の対象機器の測定原理の概要を記します。
HP27810.jpg
※ 今回の対象機器の測定原理は、「高圧側:H」から「低圧側:L」に
  流れる空気の流量を測定して差圧に換算するというものと
  考えられます。
■ このため、対象の機器は「高圧側:H」と「低圧側:L」が繋がって
  いるため加圧しても空気が抜けてしまうことになります。

流量と差圧が一定の関係にあるか調べてみました。

 考えた測定原理が正しいか確認するため、対象計器を流れる流量を
 精密膜流量計で測定して、対象機器に表示される差圧との関係を
 求めました。
□測定方法
 ・流量調節器①で、対象差圧計の圧力指示を検査点に合わせる。
 ・その時の流れる空気の量を精密膜流量計②で測定する。
 ・流量測定は5回行い、その平均値を結果とする。
HP27812.jpg
□測定結果とグラフ
HP27850.jpg
HP27851.jpg
□測定結果より
 流量と差圧には、(直線ではないが)一定の関係があることが
 分かったので、この原理は差圧計として使用できることが
 分かりました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により
  計測値は異なります。

次回は現場でのキャリブレーション方法を考えます。

 製薬会社などでは、計器が現場に据え付いた状態でキャリブレーション
 する必要がありますので、
 このような測定原理の微差圧計を現場でどのようにキャリブレーションを
 行ったらよいか考えて、次回は実験してみます。
※ 当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
 おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を
 続けています。