第278号 こんな測定原理の微差圧計もあります。
思いもよらない微差圧計の測定原理がありました。
ご存知のように、製薬などのGMPでのキャリブレーションでは、
現場に設置した状態で微差圧計のキャリブレーションを行う
必要があります。
~因みに「微差圧計」とは~
クリーンルームの室間の圧力差(室間差圧)などの制御・管理の
ため、僅かな圧力差の測定を目的として使われる計器です。
今回は、仕様等を決めて、従来の微差圧計同様に、必要な標準器を
準備し作業を開始したものの、対象の微差圧計に加圧できず作業を
中断しました。
□ 中断した対象機器に加圧できなかった理由を調査をすると、
差圧測定の原理が従来の微差圧計と違うらしく、従来の方法では
キャリブレーションが実施できないことが分かりました。
※ このような新しい微差圧計の測定原理があることに驚きました。
そこで、新たにこの機種につかえるキャリブレーション方法を
考えることにしました。
まず、今回の対象機器の測定原理を考えてみました。
>> 従来の機器と今回の対象機器の測定原理の概要を記します。
※ 今回の対象機器の測定原理は、「高圧側:H」から「低圧側:L」に
流れる空気の流量を測定して差圧に換算するというものと
考えられます。
■ このため、対象の機器は「高圧側:H」と「低圧側:L」が繋がって
いるため加圧しても空気が抜けてしまうことになります。
流量と差圧が一定の関係にあるか調べてみました。
考えた測定原理が正しいか確認するため、対象計器を流れる流量を
精密膜流量計で測定して、対象機器に表示される差圧との関係を
求めました。
□測定方法
・流量調節器①で、対象差圧計の圧力指示を検査点に合わせる。
・その時の流れる空気の量を精密膜流量計②で測定する。
・流量測定は5回行い、その平均値を結果とする。
□測定結果とグラフ
□測定結果より
流量と差圧には、(直線ではないが)一定の関係があることが
分かったので、この原理は差圧計として使用できることが
分かりました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により
計測値は異なります。
次回は現場でのキャリブレーション方法を考えます。
製薬会社などでは、計器が現場に据え付いた状態でキャリブレーション
する必要がありますので、
このような測定原理の微差圧計を現場でどのようにキャリブレーションを
行ったらよいか考えて、次回は実験してみます。
※ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を
続けています。