第280号測定原理の違う微差圧計使用時の注意点が分かりました。
実際の微差圧計の設置状態の一例を表します。
>> 2つの空間(部屋等)の圧力差をはかる微差圧計の導管は、現場の
状況に応じて、短くできる時と長くしなければならない時があります。
□ そこで、空気の流量を測定して差圧に換算する微差圧計では、
導管の長さが違ったときにどんな影響がでるのか、導管
(図中の赤線)の長さを変えて実験しました。
導管が1mと10mの場合で測定値を比較しました。
>> 今回の測定は、差圧(クリーンルームと前室間)を測定する
「a:標準圧力計」と空気の流れを作る「b:流量調節器」を
下図のように配置・接続します。
※ このような機器構成で差圧測定用導管(赤色の導管)の長さを
変えて実験しました。
現場に設置された差圧測定用導管(赤色の導管)の長さによって
大きな違いがでることが分かりました。
□ 測定結果から
・導管が1mの時では、基準値と測定値の差は極めて小さい
・しかし、導管が10mになると、基準値が増加するとともにどんどんと
差が大きくなり、基準値が最大の500Paでは「-45.3Pa」と
大きな差になる
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
□ 導管の長さにより指示値が変化する要因(結果から想定できること)
・今回の実験対象は、高圧側から低圧側に流れる空気量(流速)を測定し、
差圧に換算する計器でした。(原理は前々回のメルマガ記事を参照)
・余り普段意識することは少ないですが、配管に空気を流すとき、空気は
配管の抵抗を受けます。
・導管が長くなるとその抵抗も増える(空気が流れにくくなる)ため、
導管が短い場合に比べ、空気流量が減ってしまいます。
・すると、これに伴って差圧表示も低くなったと考えます。
この測定原理の微差圧計を使うときの現場での注意点!
□ 導管が長くなると微差圧計の値が実際よりも小さく表示されることを
知っておく必要があります。
□ (微量ですが)空気が2つの室間に継続的に流れる為、陽圧(プラス圧)側の
部屋で発生したチリなどが流れ、陰圧(マイナス圧)側室内の環境に
影響を与える可能性があります。
従って、使用する箇所の検討や、汚染時の対応(前室内への入退室制限等)を
決めておく必要があると考えます。
■ 実際の現場では、
クリーンルームと前室間など、導管の長さはまちまちになりますので、
実際の設置条件で必要なキャリブレーション等を行い、表示値と実際の
数値との差を知って、キチンと管理できるようにすることが大事だと考えます。
※ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、
お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。