第286号 輸送時に使用する保冷剤(ドライアイス)の減り方を調べました。
BOX内の温度とドライアイスの減り方の関連は?
>> 今までのドライアイスに関する実験で、BOX内の温度が低くなるほど、
0℃に戻る時間が短くなる傾向が見られました。
□ これは、ドライアイスの量が減って、冷たい空気を作ることができなくなり
温度が上がってくる(0℃に近ずく)と考えられるので、「BOX内温度」と
「ドライアイスの量」を確認し、どんな時にドライアイスを追加したら良いか
調べてみました。
■今までの実験
→第285号 置き方による温度への影響
→第284号 箱の大きさ
→第283号 ドライアイスの量
やはり、温度変化とドライアイスの減り方には高い関連性がありました。
>> 今回の実験は、
発泡スチロールBOX(256mm x 196mm x 124mm:6.2L)を3台用意し、
各々にドライアイス2個の入れ方を変えて「BOX内温度」と「重さ」を
測定しました。
[発泡スチロールBOX+ドライアイスの写真]
[実験の概要]
1.BOX内にドライアイス2個を3通りの置き方で設置する。
①縦置き分離、②縦置き密着、③横置き平置き
2.BOX内の中央のふた下5cmに温度センサを設置する。
3.所定の時間毎にBOXの重さを測定し、ドライアイスの減り方を測る。
4.BOX付近の外気温(周囲温度)も測定する。
5.各温度データを収集する。
[測定システムの概要]
[使用測定器の仕様]
・データ収集装置
メーカ:横河電機 型式:DA100
・温度センサ
テフロン被覆T熱電対クラス1
[測定結果のグラフ]
□ 測定結果から
・(思った通り)ドライアイスの量は温度の上昇とともに減っている。
・ドライアイスの置き方によって、ドライアイスの減り方に差がでた。
例えば、10時間後では
ドライアイスの量は、置き方①が②③より、100gほど多く減った。
(温度は、置き方①が②③より、10℃ほど低くなった。)
このように、温度とドライアイスの重さ(減り方)には高い関連性が
あることが分かったので、今回のようなBOXでは、
概ね15時間後の残りが50~100g位になったときにドライアイスを
追加すれば、0℃を超えずに保管できることになります。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
輸送BOXの用途に見合った温度特性が分かっていると安心できる!
>> このシリーズの実験データから、
BOX内部の温度は、ドライアイスの置き方・量や外気温など、
様々な要因の影響を受けることが分かりました。
>> 輸送の条件としても
製品の種類によって保温に必要とされる温度や輸送時間は様々だったり
また、使用される輸送BOXの特性(保温性など)も様々だと思います。
■ 従って、今回の実験のような感じで、使用する輸送BOXが、使用条件に
見合った輸送BOXであることを確認しておくことが重要だと考えます。
確認作業は、物流管理のGDP規格も要求しています。
>> GDP(Good Distribution Practices)は、
医薬品の物流管理基準と言われ、全ての医薬品を適切な条件下で保管するための
設備が利用可能であることを求めており、温度マッピングなどで温度が要求内で
あることを確認することが必要となっています。
※ 当社では、この様な確認作業をバリデーション支援業務として、幅広く
ご支援しています