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第289号 温度センサの時定数の大きさで生じる温度変化の違いを実機で調べました。

実際に、製品の保管に使用される恒温槽で実験しました。

>> 恒温槽は保管庫などとも呼ばれ、比較的小さな製品を保管する
 ときに使用されるもので、槽内を仕切った棚板の上に製品を並べて、
 求める温度で保管管理されます。
そして、この類の恒温槽の温度変動は結構小さいものが多いと思います。
□ 実験に使用する恒温槽の概要(寸法:mm)
 外形:縦:700 × 横:900 × 奥行:700
 槽内:縦:550 × 横:450 × 奥行:400 棚数:任意
 温度制御範囲:-70~60℃
 温度変動幅:±1℃(目安)
※ 今回は、この恒温槽の中に、前回と同じ3種類の温度センサを入れて、
  槽内の温度を測定します。

応答速度が極端に違う3つのセンサに温度変化の違いはでるのか?

>> この実験では、時定数がこれだけ大きく違うものを使うので、
  さすがに、温度の変化に違いが出るだろうと思いながら実施しました。
□ 3つの温度センサと時定数
HP28910a.jpg
[実験の概要]
1.恒温槽を60℃設定で運転する。
2.槽内の中央付近(同じ場所)に、3つの温度センサを置く。
3.60℃付近で温度が安定したらデータを収集する。
HP28911.jpg

温度が安定している装置では、時定数の大きさはほとんど影響しない!

>> 実験結果は
・3つのセンサは、ほぼ同じ温度を示した。
・3つのセンサの温度差(同一時間)は、最大でも0.2℃と極めて
 小さかった。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
  異なります。
[測定結果のグラフ]
HP28950.jpg
□ 温度の制御性能が良い装置では、そもそも温度の変動が少ないため、
  センサの時定数が影響する現象は発生しにくいと考えられます。
>> では、どれぐらいの温度変動であると時定数が影響するのか
  ということになると思いますが
温度変動幅を変えた実験データを調べきれていないし、装置によっては、
温度の変化も緩やかに変化するものや細かく変化するものもあるので、
温度変動幅が±○℃までは影響しないとは言い難いです。
■ 経験的なものですが、おおよそ、温度変動幅が±2~3℃ぐらいなら
  時定数は大きく影響しないと考えます。

時定数が影響しそうな「温度変動が大きい装置」で実験してみます。

>> 次回は、低温保存に使用される冷蔵庫を使って同じ実験を行い、
  時定数の影響を調べてみます。
冷蔵庫の温度制御は、一般的には2~8℃で制御されるので
温度が顕著に上下に変化する(温度の安定が悪い)状態になると
考えられます。
※ 当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
 おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。