第292号 特殊構造で接液できない温度センサのキャリブレーション方法を検証しました
始めに、特殊構造で接液できない温度センサをご紹介します。
>>この温度センサは、グラスライニングした容器(反応槽等)の温度測定用に
使用され、見た目だけでも、一般的な温度センサ(測温抵抗体タイプ)と
随分と構造が違うものです。
「①一般的な温度センサ」は、
図のように、へルールフランジ等で、検出部を直接配管や装置内の温度を
測定したい場所に取り付けて使用される。
一方
「②特殊な温度センサ」は、
構造上、直接装置内に取り付けられないため装置に取り付けられている
パイプ内に挿入し、容器内の液体と直接触れないように使用される。
□このような特殊構造の温度センサは液に触れさせれないため、一般的な
温度センサのキャリブレーション方法が使えません。
そこで、接液できない温度センサのキャリブレーション方法を考えて、
実験しました。
まず、専用の冶具を準備しました。
>>「検出部が接液してはいけない温度計」の専用の冶具を準備しました。
□どんなものかというと、筒を二重にした感じのものです。そして、
内側の筒はセンサの長さ分だけ短くしてあります。
□使い方は
1.「①外側のフランジ」内部に、センサを挿入し
2.「②内側のフランジ」でセンサを押し込んで、検出部を
外側フランジの内側に密着させる。
想定した通り、キャリブレーションに使える結果になりました。
>>専用の冶具がキャリブレーションに使えるかどうか調べました。
[実験の概要]
1.使用するセンサは
①標準温度センサ(これがキャリブレーションの基準になります)
②冶具を取り付けた特殊センサ(キャリブレーション対象)
2.①②を恒温槽に浸します。
3.所定の温度で安定したら、各センサのデータから差異を求めます。
[測定システムの概要]
[測定結果]
□このキャリブレーション方法では、測定差異は全ての温度で
「±0.1℃以内」になることが分かりました。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
キャリブレーションのポイントは検出部を密着させることです!
>>検出部が実際の温度をキチンと感知するために、
・内側フランジを調度具合の良い状態まで締め付けたり
・検出部と外側フランジの内側にグリスを塗布する
などのチョットした工夫が功を奏したと考えられます。
■このような測定条件を現場で実現できれば、効果を発揮できる
キャリブレーション方法と考えます。
(とは言っても、温度センサだけでなく専用治具の温度の安定
時間が必要なため、通常の校正方法に比べて時間はかかります)
もうひとつのキャリブレーション方法も実験します。
>>今回は、現場で実現し易くするために、専用の冶具とウォーターバスを
使ってキャリブレーションしましたが
次回は、専用の冶具を使わないキャリブレーション方法を考えて
実験してみます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。