第298号 サーモシェーカーの撹拌機能を検証できるか確認しました。
サーモシェーカーとその適格性評価(バリデーション)について
バリデーションのお問い合わせを頂くサーモシェイカーは、細胞培養センター(CPC:Cell Processing Center)などで菌の培養やDNAの断片化に幅広く使用されており、上部に置いたチューブ(容器)の液体を温度制御をしながら撹拌できる装置になっています。
[サーモシェーカーの一例]
サーモシェーカーの適格性の評価(バリデーション)では、対象の装置の機能を確認しますので、温度制御→「恒温機能」、撹拌動作→「撹拌機能」を検証する必要があります。
※それぞれの機能評価の当社実績としては
恒温機能の検証は、温度計(センサ)を使った方法で実績がありますが
撹拌機能の検証方法は実績がありません。
■そこで、バリデーションの実施可否を見極めるため、撹拌機能を
検証する方法を考えて、実験してみました。
「デジタル回転計」と「ストロボスコープ」を活用します。
サーモシェーカーの撹拌機能を検証するには、縦横の振動の動きで撹拌動作をしているので、振動を測定します。
その方法として、現場で実施可能な「デジタル回転計を使う方法」と「ストロボスコープを使う方法」を考えて検討してみました。
1.「デジタル回転計」を使う方法では
右端のチューブ(容器)に反射テープを貼り、デジタル回転計で測定してはどうかと考えました。
検討結果:測定困難
この方法では、回転計のターゲットの中に、本来反射テープが入ったり
出たりして振動が測定されます。しかし、サーモシェーカーでは、振動が
小さいにも関わらず回転計のターゲットが大きいため、反射テープが振動
してもターゲットの外に出ないので測定できないと考えた。
2.「ストロボスコープ」を使う方法では
ストロボスコープの発光周期と振動の周期が同じになると、人の目には止まって見えるので、ストロボの発光周期を調整して、止まって見える値を調べることで振動が数値化できると考えました。
検討結果:測定可能
振動の大小に関わらず数値化が可能と考えた。
測定が出来そうなストロボスコープの方法でチャンと測れるか調べました。
「振幅・振動数設定器+加振器」をサーモシェーカーの振動機能に見立てて振幅・振動数設定器の設定(発生振動数)を変えて、誤差(発生振動数との差)を調べました。
[測定結果]
□測定結果から
・発生振動数の換算rpmとストロボスコープの測定値はほぼ同じになった
⇒バリデーションとしては、使用できる方法と考えますが、(ご要求が)高回転数の場合は、少し改善する必要がある。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異なります。
お問い合わせ頂く装置・機器は、なんとかして検証方法を見つけ出します。
今回のサーモシェーカーのように、お問い合わせを頂いたバリデーションが必要な装置・機器の適格性評価方法については
■当社の知見や経験で、お客様の使用方法にフィットした検証方法をご提案します。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。