第301号 すき間があっても室圧を一定にしたいときの必要供給風量を調べました。
差圧は病室への供給風量と病室からの排気風量との差で発生する!
ご存知の様に、室圧を調整する方法は
[陽圧(プラス圧)にするには]
病室内に送り込まれる空気(供給風量)より、出ていく空気(排気風量)が少なければ良いということになります。
[陰圧(マイナス圧)にするには]
反対に、病室内に送り込まれる空気(供給風量)より、出ていく空気(排気風量)が多ければ良いということになります。
□差圧はこんな原理で発生していますが、
実際の病室では色んなすき間から空気が漏れています。
そこで、すき間に注目して、前回実験と同様、プラダンで模擬的な空間を作り、
差圧が一定(10Pa)時のすき間の大きさと供給風量との関係を調べました。
思ってたように、すき間の大きさと供給風量は比例しました。
この実験は、前回同様、プラダンで模擬的な空間を作り、すき間の大きさ毎に差圧が10Paになるときの風速の変化を調べました。
①すき間(開口部)を少しずつ広くする。(カバーを除々に下げる)
②差圧が一定になるように、送風ファンを調整する。
③差圧計の指示値が10Paになる風速を読み取る
□測定結果から
・差圧を一定にしようとすると、すき間の大きさに応じて風量を
増やす必要がある。
・この実験では、空気の入る場所と出る場所が1ヶ所ずつのため、
すき間の大きさと供給風量はほぼ比例した。
⇒従って、供給風量を上げれば、差圧を立たせることができる
ということになります。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
病院では、極端に風量が上げられない!
これらの実験から、すき間があっても、供給する空気量をどんどん送り込めば差圧が立つことが分かりました。
しかし、静かな環境が必要な病室では、患者さんの負担になるような余り大きな風量を供給することは難しいと考えられます。
そのため、小さな風量でも差圧が立つようにすき間を少なくする(空気の漏れ量を小さく)する必要があります。
例えば、バリアフリーにするための扉の下のすき間、色々な医療機器の電源をとるための電気コンセントと壁とのすき間、壁とスラブ(床)とのすき間などからは、空気の漏れが発生し易い場所ですので、このような場所からの漏れを施工時や機器の選定時にどれだけ少なく出来るかが重要だと考えます。
次回は「差圧:0」時の空気の振る舞いを調べてみます。
今回の実験のように、差圧を立てれるぐらいの量の風量が供給できればよいがすき間の大きさや空気の漏れ量によっては差圧が立たない可能性がありますので
□ 差圧計の表示がゼロになっているとき、空気は病室と廊下の間で
どんな振る舞いをしているのか気になってきました。
そこで、次回は、気流を可視化して、空気の振る舞いを調べてみることにします。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、
お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。