第302号 室内と隣室で『差圧=0』時のすき間からの空気の流れを調べました。
気流可視化装置を使って、空気の流れ(気流)を調べます。
気流可視化装置は、猛暑のときに体感温度を下げるために、町の中に時々見かけるミストの噴霧装置のようなもので
このミスト粒子の粒径は、4~20μm程度と小さいため、蒸発が速く、室内や着衣を濡らすことなく噴霧することができるものです。
□可視化は、測定したい場所に純水ミストを当てて、黒い背景の前で、
その状態をカメラで撮影するものです。
今回は、この気流可視化装置を使って気流を可視化しました。
『差圧=0』でも、気流は確認できました。
この実験は、前回同様、プラダンで模擬的な空間を作り、すき間の大きさ毎に差圧を測定し、同時に、すき間からの気流を可視化しました。
①すき間(開口部)を少しずつ広くする。(カバーを除々に下げる)
②供給風速が一定になるように、送風ファンを調整する。
③差圧計の指示値を読み取る
④同時に、すき間からの気流による純水ミストの状態を撮影する。
[気流の測定結果]
写真は、すき間を順次大きくした時の気流の状態です、
①差圧:6Pa時の気流
②差圧:4Paの時の気流
③差圧:1Pa時の気流
④差圧:0Pa(計算上の開口部風速:0.63m/sec)時の気流
⑤差圧:0Pa(計算上の開口部風速:0.47m/sec)時の気流
⑥差圧:0Pa(計算上の開口部風速:0.38m/sec)時の気流
□測定結果から
・差圧が小さくなると気流も弱くなる。
(写真のように)差圧が高いときは純水ミストはパイプより噴出後、
直角に吹き飛ばされているが、差圧が低くなると気流が弱くなり、
純水ミストの勢いがが少し滞留しているように見える。
・『差圧=0』のときでも、すき間からの気流が確認できる。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により気流の
状態は異なります。
差圧が立たないところでは、気流を管理するほうが良い!
この実験から、『差圧=0』でも空気は、すき間から流れ出していることがハッキリしましたので
差圧が立っていなくても、気流を可視化することで、室圧の管理ができることになります。
□この様な理由からも、病院設備設計ガイドラインの病院感染対策では
気流管理を推奨していると考えられます。
ガイドラインの気流管理では、実験の方法がそのまま使える!
因みに、このガイドラインの気流管理による方法には、以下のように記載されています。
一般的な室圧を管理する方法は、室圧を数値で管理するのではなく、
扉下部のすき間からの気流方向を確認する気流管理が一般的である。
気流管理は、扉すき間のすきま風方向(気流方向)をスモークテスター
(煙管)などによる確認を行う。
■この要求内容は、今回のご紹介した気流可視化の方法が
そのまま使うことができると考えます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。