第304号 現場で使っている当社独自の温度センサの液中と気中の時定数を調べました。
現場で使っている当社独自の熱電対タイプの温度センサです。
この温度センサは、高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)などの適格性評価に使用する当社独自のものです。
多箇所の温度測定をするため、20~30本のセンサを纏め、装置の内部からの液漏れ等を防ぐ3つの工夫を施しています。
■しかし、独自センサの3つの工夫の中で、3.先端防水モールド加工は、
熱電対の露出部分を厚い樹脂で覆っているため温度の応答性が悪くなり、
バリデーションの温度データに影響を考えることが考えられます。
そこで今回は、応答性の良し悪しを時定数を測定して確認してみました。
時定数は、広く使用される熱電対(先端露出)温度センサとほぼ同じでした。
□■□ まず、液中の時定数(90%)から調べました
[実験の概要]
1.温度センサを25℃⇒60℃の恒温水槽に移す。
2.収集した温度データから時定数を求める。
今回の時定数は、25→60℃での90%の変化なので、「56.5℃に達する時間」になります。
[測定システムの概要]:液中
[測定結果とグラフ]
■□■ 次に、恒温水槽を恒温槽に変えて、同様に気中の時定数を調べました
[測定システムの概要]:気中
[測定結果とグラフ]
□測定結果から
・気中の時定数の方が、液中の約2倍になりました。
・液中と気中のグラフを重ね合わせてみると
明らかに、液中の温度上昇が早いことが分かります。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異なります。
熱電対の先端を樹脂キャップでカバーしても問題ない!
前回のメルマガでご紹介した「先端露出センサ」と今回実験した「先端樹脂キャップセンサ」の2つ熱電対の時定数の結果はほぼ同じ値になりました。
※先端防水モールド加工は、温度の応答性が悪くなるのではないかと
心配していましたがプラスチックでカバーしても問題ないことが
分かり安心しました。
適格性評価はいつも同じ条件で測定することが重要と考えます。
この実験のように、同じ熱電対センサを使っても、環境による時定数の違いによって測定データに違いが生じる可能性がありますので、適格性評価作業では、いつも同じ条件で行う必要があります。
■装置の都合上、今回のような特殊なセンサを使用する場合でも、同じ時定数になるような特別な注意が必要と考えます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、
お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。