第305号 熱電対より高精度な測温抵抗体センサの液中と気中の時定数を調べました。
シース測温抵抗体は、熱電対より高精度に温度を測定できるセンサです
この温度センサは、高精度に温度を測定できる。低温を測定できる。などの特徴から製薬の現場等で、多用されている温度センサです。
[T熱電対との精度の違い]
この例では、測温抵抗体センサの方が、T熱電対センサの約2倍、精度が良いということになります。
[具体例な形状は]:一例
このような色んな用途に使用できる形状のものが揃えられています。
□今回の実験では、使用頻度が多いφDが3.2mmのシース測温抵抗体
センサを使って、液中と気中の時定数を比べてみました。
気中の時定数が、約3分(194秒)も掛かりました。
□■□まず、液中の時定数(90%)から調べました。
[実験の概要]
1.温度センサを25℃⇒60℃の恒温水槽に移す。
2.収集した温度データから時定数を求める。
今回の時定数は、25→60℃での90%の変化なので、
「56.5℃」に達する時間になります。
[測定システムの概要]:液中
[測定結果とグラフ]
■□■次に、恒温水槽を恒温槽に変えて、同様に、気中の時定数を調べました。
[測定システムの概要]:気中
[測定結果とグラフ]
□測定結果から
・気中の時定数の方が、液中の約5倍になりました。
このデータだけで考えると、
気中測定では、実際の装置内の温度は約3分後に分かるということになり、チョット驚きました。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
気中測定で、時定数の長いセンサを使うときの注意ポイントを考えました
このようにシース測温抵抗体の気中の時定数が長くなることは、水と空気の熱の伝わり易さなどでいたし方ないものと考えますのでシース測温抵抗体で気中を測定する場合は、時定数に応じた測定データの取り扱いが必要と考えます。
例えば、
・所定の温度に達するまでの時間を判断する場合は、時定数に応じた
時間遅れを加味する。
・温度の上下変動を最大値・最小値で判断する場合は、実際の温度より
変化が緩やかになることを加味する。
等々が考えられます。
熱電対センサより、精度も応答性も良いものが欲しい!
今回の実験で使用したシースタイプの測温抵抗体センサは、以前テストした熱電対と比べ、精度は良いが応答性が遅いことが分かったが、やはり、どちらも勝っているものが使いたいというご希望にお応えできるように、都合の良いセンサを探し出して、次回は実験してみたいと考えます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。