第308号 種類の違う測温抵抗体センサの液中と気中の時定数(応答性)を調べました。
太さ、形状の違う5種類の測温抵抗体センサの時定数を調べます。
今回は、当社がクオリフィケーション(適格性評価)時に使用することが多い、太さ・形状の違う5種類のセンサの液中・気中の時定数を調べてみます。
※5種類だけでは、皆様が使用されるセンサと違うかも知れませんが、
少しでも参考になればと考えます。
時定数は、液中・気中で大きく違いました。
□■□まず、液中の時定数(90%)から調べました。
[実験の概要]
1.温度センサを25℃⇒60℃の恒温水槽に移す。
2.収集した温度データから時定数を求める。
今回の時定数は、25→60℃での90%の変化なので、
「56.5℃」に達する時間になります。
[測定システムの概要]:液中
[測定結果とグラフ]
■□■次に、恒温水槽を恒温槽に変えて、
同様に、気中の時定数を調べました。
[測定システムの概要]:気中
[測定結果とグラフ]
□測定結果から
・どのセンサでも、液中よりも気中の時定数の方が大きくなりました。
・①のフィルムタイプが液中、気中とも最も短時間になった。
・液中の時定数は、太さが違っても、意外と、大きな差にならなかった。
⇒(最大差:6秒)
・ところが、気中の時定数はセンサが太くなるほど、極端に長くなった。
⇒(φ6.4で、6.6分になった。)
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
何故、こんなに気中の時の時定数が長くなるだろうか?
このように気中の時定数が長いのは、熱の伝え易さに差があると考えられます。
これは物質の中を熱が伝わる伝導熱が影響していて、この伝導熱には、固体>液体>気体の順に熱を伝えやすいといった性質があるからと考えます。
例えば、鍋つかみを使うと熱い鍋もつかめるのも、鍋つかみの中の空気によって熱が伝わりにくくなっていることになります。
■即ち、気中の熱伝導が悪いため、時定数が長くなると考えられます。
時には、時定数が長いことも活用できます。
時定数が長い(応答性が悪い)と使いにくいように思われがちですが
製品自体の温度を測って管理しなければならないが、直接、製品の温度が測定できない場合には、応答性の悪さを利用して管理する方法が考えられます。
□次回から、この方法に関することを実験してご紹介します。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。