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第313号 ワクチンに見立てた製品温度を庫内に置いた熱緩衝物で簡単に測定したい。

製品温度を、庫内に置いた熱熱緩衝物で簡単に測定したい。

医薬品では製品の温度が直接測れない。でも、製品のそのままの温度を知りたいと考えられる方も少なくないと思います。
実際には、どのように測定したら良いか悩みどころではないかと考えました。
□ このことを解決するために
庫内に置いた熱緩衝物を使って測定することで、間接的に製品温度を
推定できないかと考え、熱緩衝物の種類や量を変えて実験を行ってきました。
その結果、製品と熱緩衝物の時定数を同じにすることで、庫内に置いた
熱緩衝物の温度で製品温度を間接的に測定できることが分かりました。
■ 同時に、製品と同じ時定数を持った熱緩衝物をつくることの難しさも
  分かりました。
※ そこで、時定数がピッタリでなくても、製品の温度として困らない
  熱緩衝物の量(時定数)を探ってみました。

時定数が少々違っても、製品温度はチャンと測れる!

探り方としては、熱緩衝物の量(時定数)が違う6種類を使って測定した温度と製品温度を比べて、製品温度を推定するのに使える熱緩衝物の量(時定数)を調べました。
[実験の概要]
時定数が分かった熱緩衝物(エチレングリコール)で、庫内温度を測定して
製品温度との差を求めます。
1.庫内中央に、製品に見立てた水を入れた容器を置いて、温度センサを
  中心部まで挿入する。(製品温度とする。)
2.製品近くに、量の違う6個のエチレングリコールが入った容器に
  庫内温度測定用の温度センサ6本を設置する。
3.製品と庫内の温度データを収集する。
HP31305.jpg
[測定結果とグラフ]
HP31310a.jpg
HP31311.jpg
□ 測定結果から
・平均温度は、製品温度11.5℃の+0.7℃の範囲に収まった
・最大と最小の差は、製品温度1.0℃の±0.4℃以内になった。
■ 今回の実験の結果から、
 これぐらいの少量のエチレングリコールであれば、製品温度は±1℃以内の
 誤差となり、時定数が少々違っても、熱緩衝物の温度で製品温度が間接的に
 測定できることが分かりました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
  異なります。

熱緩衝物の時定数は(±1℃以内の誤差であれば)製品の時定数と
同じでなくても良い!

製品の温度管理のために、庫内に置いた熱緩衝物の温度を測定して製品の温度を推定する場合、熱緩衝物の時定数は製品の時定数とほぼ同じであればよいことが分かりましたので、余り、シビアに考える必要はなさそうということが分かりました。
※「ほぼ同じ」の値は、(この実験では)製品の時定数の±20%が
  目安になります。
□ 具体的には、前々回のメルマガでもご紹介した内容と同じように
  なりますが、
①まず、製品の時定数を測定する(熱応答を調べる)
(時定数の測定の仕方はメルマガ310号が参考になると思います。)
②次に、その時定数に近い熱緩衝物と量を調整して製品と同じぐらいの
  時定数のものを決める。
 (大まかな時定数はメルマガ310号のデータが少しは
  参考になると思います。)
③(上記の)熱緩衝物の時定数を測定して、製品の時定数とほぼ
  同じになることを確認する。
⇒こんな方法で、庫内温度を測定したデータ(熱緩衝物の温度)から、
 製品温度を推定するのもひとつの方法になると考えます。
※ 当社は、
 この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
 おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。