第316号 恒温槽の適格性評価のやり方とその根拠!!
細胞培養センタの方から、こんなお問い合せを頂きました。
(委託元から)、恒温槽の適格性評価を実施して、その実施根拠も示して欲しいという話が出てきた。
その話の中では、JTMという規格の名前もでてきているがどうしたら良いか分からないといったものでした。
まず、恒温槽の適格性評価方法のよりどころから!
この話になると、JTM(Japan Testing Machinery Association)という日本試験機工業会の業界規格が頻繁に登場してきますが
メーカさん向けの業界規格なのに、何故、使用者に関係するのかと、疑問を
もたれる方も多いと思います。
□その理由は、
GMP等で要求される適格性評価においては、(例えば)使用している
温度槽の良し悪しを管理するには、「測定の手順」や「期待される結果」等を
決める必要があり、
時には、この「測定の手順」や「期待される結果」は、第三者からその根拠の説明を求められることがあります。
そのため、「測定の手順」や「期待される結果」の採用根拠として、これらの業界規格の測定手順やデータが利用されるからだと思います。
■このようなことで、
適格性評価の実施では決め事のよりどころとしてJTM規格が
使用されていると考えます。
恒温槽では、JTM規格が新旧の2つある。
ご存知のように、旧規格(JTM K01)は2014年に廃止され、2007年に新規格(JTM K07)が制定されました、
旧:JTM K01は・・・恒温恒湿室の性能試験方法及び性能表示方法
新:JTM K07は・・・温度試験槽の性能試験方法及び性能表示方法
□GMP等では、
JTM規格が使われることが分かったが、同じ装置(恒温槽)で、
2つのJTM規格があったら、どちらをよりどころにしたら良いのか?
という疑問も湧いてきます。
[これを考えてみると]
新旧といっても、メーカさんの話であって、使用者が守らなければならないと、というものではないので、使用者の使い勝手のよい方を選択すれば良いと思います。
しかし、新旧の性能試験方法及び性能表示方法のどちらを使っているのかを明確にしておく必要があると考えます。
JTMの新旧規格。何が違ってくるの!
使い勝手の良い方を選ぶには、データの扱いやさや今までのデータの連続性など選定条件は色々あると思いますが、
ここでは、実際に測定してみて、新旧規格の表示方法、計算方法で対比させました。
※このように、同じ恒温槽を測っても、
新旧規格の表示方法や計算方法等の違いによって、同じ結果になりません。
新しいJTM規格(JTM K07)に対応していった方が良さそうです
規格が改定された理由として
温度試験槽の性能に関し、国際規格との整合を取りながら実際の運用に即した形で補足した内容で規格化したものと情報があります。
□使用者の使い勝手で新旧どちらの規格を選んでも良いとはいっても、
多くの業界の規格がグローバル化されてきている状況から考えると、
新規格(JTM K07)を使うのがベターかと考えます。
■旧規格⇒新規格に切り替えるのは比較的簡単です。
恒温槽の性能を測定するとき、収集したデータから、旧規格のデータと新規格のデータを同時に求めてもらうだけです。
今までの恒温槽の適格性は、JTM K01で求めたデータで評価を行い、今後はJTM K07で求めたデータの使用を宣言しておけば、次回からは、新規格のデータで適格性を評価できることになると考えます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、
お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。