第318号 計装機器単体のバリデーション(適格性評価)の考え方と進め方!!
こんなお問い合せを頂きました。
製薬メーカさんや設備メーカさんから、時折、設備に付属している計装機器単体のバリデーション(適格性評価)はどのようにやったら良いかというお問い合せを頂きます。
□ 内容をお聞きすると、
設備の変更や故障で計装機器を取付けたり、取替えた時に
バリデーション(適格性評価)を実施する必要があるが、
どうやったら良いか分からないといった内容のようです。
始めに、計装機器の単体について、ハッキリしときたいと思います。
製造の現場では、様々な計装機器が取り付けられて、機器に求められた例えば、検出・指示・調節・記録等の機能を果たしています。
□ 温度測定(制御)の一例では、
温度センサ、調節計、記録計が単一の物になり、
記録計単体などと呼ばれています。
※ このような計装機器単体をバリデーション(適格性評価)するには、
どうしたら良いか考えてみます。
バリデーション(適格性評価)は本来、どうあるべきか!
ここでは、バリデーション・適格性評価の原点(規格)になる厚生労働省のGMPに立ち戻って見ます。
□ ご存知のようにGMPのバリデーション基準の要求内容は、
となっていますので、計装機器単体は「装置」に該当することになります。
■ 従って、
計装機器単体も、この原則に沿って、バリデーション(適格性評価)を
実施する必要があります。
※ では、計装機器単体では何をしたら良いか具体的に考えてみます。
バリデーション(適格性評価)は計装機器単体では成立しない!
例えば、計装機器単体:流量計を対象としてバリデーションを実施する場合、バリデーション基準の要求内容からDQ・IQ・OQ・PQと順に行う必要があります。
具体的に流量計の実施内容を順に考えると
□(ア)DQでは
流量計を選んだ理由、例えば、洗浄のし易さ、機器の精度、取り扱いのし易さなどがあると考えますので、それらの要求を満足したものを選んでいるということを確認し、文書化します。
(一般的に、それらの要求は要求仕様書として作成されます。)
□(イ)IQ)では
流量計の取り付け具合(水平度、取付位置等)や配線などが設計どおりになっているかを測定等で確認し、文書化します。
また、その状態で、流量計の指示値が標準値とどれぐらい差があるか調べます。
(これは、一般的に、校正とかキャリブレーションと呼ばれています。)
□(ウ)OQ、(エ)PQでは、
規格要求では設備が運転状態で行うものになりますので、計装機器単体で実施されるものではありません。
■ このように、
流量計単体では、DQとIQを実施することとが出来ますが、OQ・PQが
実施できないため、流量計単体ではバリデーション(適格性評価)としては、
成立しないことになります。
設備・システムに組み込まれた状態でバリデーションを実施する!!
お問い合わせを頂いた計装機器単体の導入時のバリデーション(適格性確認)では設備の一部として、DQ・IQは、計装機器単体で実施し、OQ・PQは設備全体の中で確認することになると考えます。
※当社は、フィールドでバリデーションを実施する立場から、
規格の要求内容や定義を具現化(具体化)して、
お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。