第321号 パスボックス(狭小空間)内の微粒子測定のヒント?
狭小空間内の微粒子測定は安定しない(どんどんと低下する。)
前回のメルマガでご紹介しましたように、パスボックスのような密閉空間(250x250x210mm)内の微粒子をパーティクルカウンタで測定すると
■測定開始5分後、初めの値から約80%も低下し、
35分後には測定値はほぼゼロになることが分かりました。⇒前回データ
⇒まず、この低下原因を考えると
□微粒子を測定した状況(⇒前回メルマガの実験状況)から
密閉された空間内には、パーティクルカウンタがあるのみですから、
パーティクルカウンタが何らか影響していると考えられます。
⇒そこで、パーティクルカウンタの測定原理などを調べてみることに
しました。
パーティクルカウンタの測定原理の概要になります。
ご存知のように、気体パーティクルカウンタ(微粒子測定器)は、空気中にある埃や微粒子、不純物などを計数する計測器のことです。
□測定に重要な測定気体の流れを簡単に表すと
・ポンプによってセンサ内部を減圧することで
・サンプルはインレット(サンプル吸入ノズル)からセンサ部を流れ
・フィルタ①②でろ過された後排出される。
⇒このように、サンプルはフィルタを通って、ろ過されて、
きれいな空気になって、排気口より排出されることになります。
■従って、
狭小空間での微粒子測定では、パーティクルカウンタ内部のフィルタが
どんどんと空気をキレイにして、微粒子数が下がっていくため、
どの測定値でパスボックスの良し悪しを評価して良いか分からないことに
なります。
【余談ですが】
このことが分かってから、排気口をパスボックスの外に出して測定する
ことも考えました。
しかし、空気が排出され続ると内部が陰圧(負圧)になって、
サンプルが吸引できなくなり、パーティクルカウンタが測定不能と
なるため断念しました
それでも、パスボックス内部の微粒子数を知りたい。評価したい。
クリーンルームなどで、機材の出し入れに使われるパスボックス内の微粒子数を測定する場合も、前回の狭小空間の実験結果と同様で、パーティクルカウンタの内部フィルタが吸引した空気をろ過して綺麗にしてしまうため、微粒子数がキチンと測定できないということになります。
□どうしても、パスボックス内の微粒子数を測定したいときの
ヒントを考えました。
1年後にも、測定が再現できるように『測定条件』を明確にしておく
半年、一年などの決めた周期での測定値の動向(変化)から、パスボックスの良し悪しを評価するための測定条件としては、
⇒データの読み取り時間とパーティクルカウンタのフィルタの
2つに注目することになると考えます。
①読み取りタイミングを決めておく
パーティクルカウンタを運転してからのデータの読み取り時間を決める
例えば、「運転開始後、5分後のデータを読み取る」など
②前回と同じパーティクルカウンタを使う
パーティクルカウンタ自体のフィルタの性能は数値化が難しいので、
同じパーティクルカウンタを使用する。
■①②のような測定条件を設定しておくことで、パスボックスの
良し悪しの評価が可能になると考えます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。