第324号ホットスターラーの攪拌物は設定温度になっているのか?
ホットスターラーは多くの実験室で活躍しています。
ホットスターラーは磁力を利用して撹拌子を回転させ、液体を撹拌する機能と、ホットプレートに乗せた液体を恒温にする機能を持っています。
□長時間、一定の速度や温度で撹拌することができるため、実験室で
液体の混合や化学反応実験で良く用いられています。
□頂くお問い合せとしては、
使用する機会が多いためと思いますが、結構、細かい内容になっています。
例えば
・連続運転の温度状態はどんな感じか
・設定温度までの到達時間を知りたい
・温度分布状態を知りたい
・水中でなくても使用可能か
等など
※このようなお問い合せについて、実際のホットスターラーで
実験して(データ等で)ご紹介したいと思います。
今回は、ホットスターラーの設定温度と実際のビーカーの液体温度について
調べてみました。
液体の温度は、設定温度と大きく違うことが分かりました。
この実験は、大きさの違う3種類のビーカーに500mlの水を入れて、設定温度毎の液温を測定します。
[実験の概要]
1.ビーカーの下部に温度センサをセットし
2.ホットスターラーの温度を50、60、70、80、90℃に設定して、
それぞれの液温が安定した時(おおよそ2時間後)の温度データを
収集する。
[測定システムの概要]
[測定結果とグラフ]
□測定結果から
・全てのビーカーで設定値と液温との差は、最小でも-13.6℃と
結構大きな値になった
・どの設定温度でも、温度差は①が大きく、②が小さい傾向を示した
・90℃の時の誤差が最も大きくなった(最大で-41.4℃)
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により
計測値は異なります。
温度条件が重要な実験では、温度差に注意が必要!
>>設定温度と実際の液温との差は、
・ビーカーから大気中へ放熱している
・撹拌時に冷たい周囲の空気が混入している
・設定温度はホットプレートの温度を制御している
・ホットプレートの加熱(熱量)不足している?
などにより、発生していると考えられます。
⇒この温度差を小さくするには、
実際の液温の温度を測って、ホットスターラーを制御するタイプも
ありますので、次回、実験してご紹介したいと思います。
⇒実験しました。(第325号の記事へ)
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。