第330号 温度槽性能試験における新旧準拠規格混在の問題点とその対応について
現場では、温度槽性能試験の新旧規格が混在しています。
温度槽性能試験で使用されてきたJTM K01、K03、K05(旧規格と呼ぶ)が2007年3月1日に廃止され、JTM K07(新規格と呼ぶ)が新しく発行されました。
新旧規格の移行に伴う5年間の猶予期間は2012年3月に切れていますが、現場では新旧の規格が混在しているのが現実だと思います。
□この2つの規格を比較すると、
温度槽の「性能試験の方法」と「性能表示の仕方」が大幅に変わってきています。
※今回は、この改訂で起こっている現場での問題点と
対応の考え方をご紹介します。
温度の変動を取り上げて新旧規格の結果を比べてみました。
>>同じ恒温槽で新旧規格の2つのやり方で試しにやってみました。
1.測定の手順(新旧規格とも同じ手順になります)
測定は以下の手順で実施しました。
(1)恒温槽に温度センサ(9点)を設置(設置位置は次項参照)
(2)庫内の温度が安定するまで待つ
(3)庫内の温度データを収集する(1分/回30分間)
(4)収集したデータから、新旧JTM規格で評価結果を求める
【検査点】
・設定温度:25℃
・負荷物(内容物):無し
2.測定位置
3.温度の変動での測定結果
【旧規格では】
温度変動幅と呼ばれ、中心1点のデータの平均値を求め、その平均値の高い方と低いほうに分けて、それぞれの平均値の差を計算します。
【新規格では】
温度変動と呼ばれ、9点のデータを使って、旧規格より複雑な計算で算出されます。
■実験した『温度の変動』では
表示方法の違いで呼び名も違いますし、同じ装置を測っても、計算方法等の違いで結果として出てくる数値も全く違うことが分かります。
⇒そのため、次のような2つの問題がクローズアップされてくることになります。
現場で何が問題になっているのか
■問題点の1つ目は、
温度槽のメーカさんが出しているカタログなどに記載されている数値が、新しい「性能表示の仕方」になるため
⇒新規購入や買い換えをする際には、
今までの旧規格の数値から、新しい機器を選ぶことが困難になっている。
■2つ目は、
新しい規格の「性能表示の仕方」で、社内管理しようとすると
⇒新旧規格の性能表示の項目、数値が全く異なるため、
その機器の良し悪しが判断できない。
(管理の連続性がなくなる)
解決の糸口となる考え方とは!
対応の仕方は、(今回の実験の様に)同じ装置で、新旧それぞれで評価試験を行った2つのデータを作っておくと解決の糸口になると考えます。
⇒そうすることで
■今年は、旧の規格で評価して、来年は新しい規格で評価することが出来、
管理の連続性が保たれます。
■装置の買い換えや更新のときには、メーカさんの仕様と比較しやすく
間違いのない機種選びが出来ます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、
どんな環境においても、お客様に満足して頂ける作業を
お届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。