第333号 FAT(Factory Acceptance Test)のデータが適格性評価の一部になる!?
お問い合せの背景を考えてみました。
頂いた適格性評価とFATの関連を知りたいというお問い合せのキッカケは、EU-GMP(EU共通のGMP)Annex15の改定によるものと考えます。
□今回の改定で、FATのデータが評価試験のデータとして取り込めることに
なりました。
適格性評価のいくつかの試験は、搬送前にサプライヤーの工場で行ったものを取り込み、再度、繰り返す必要がなくなりました。
■このように、適格性評価の一部にFATが組み込まれることで、
適格性評価作業の簡略化につながって行くと考えられます。
まずは、適格性評価・FATはどんなことを実施するかから考えてみます。
適格性評価とFATで、実施する確認作業はほぼ同じ!
適格性評価とFATはどんなことを実施するかをバリデーション基準やISPE用語集などで調べてみると
□適格性評価は→(実際の製造現場で実施)
装置又は付帯システムが適切に据え付けられ、正しく作動し、
実際に期待される結果が得られることを証明し記録する活動で、
設計時適格性評価(DQ)、設備据付時適格性評価(IQ)、
運転時適格性評価(OQ)、性能適格性評価(PQ)を順番に
実施確認するものになっています。
□FAT(Factory Acceptance Test)は→(サプライヤーの工場で実施)
システムが受入基準を満たしているかどうかを決定し、
顧客がシステムを受け入れるかどうか決定できるようにするために、
サプライヤー工場で実施されるテストで
実際には、実機もしくはシミュレータなどを使用して、模擬環境で機能および性能を確認するものになっています。
⇒このように実施場所が異なるが、その目的は、
・適格性評価では「期待される結果が得られること」
・FATでは「システムが受入基準を満たしていること」
と言葉の違いはありますが、目的を達成するための具体的な
実施内容はほぼ同じと考えて良いと思います。
FATを取り込んだ時の適格性評価の実施内容を考えると!!
>>製造現場で適格性評価として実施しなければならない内容だが、
サプライヤーの工場でFATとして同じ内容を実施した場合、
そのデータが輸送や搬送によって影響を受けなければ、
適格性評価を省いても良いと考えます。
□輸送や搬送によって、データが変わるリスクを考慮して、
評価項目別に実施の要否を考えてみました。
評価項目によっては、FATで実施したことを製造現場での適格性評価では省いたり、適格性評価で実施しなければならないことはFATでは簡素化したり、出来ると思います。
■今回の改訂は、
製造現場で実施する適格性評価作業の簡略化によって、コスト面等でも
メリットがありそうです。
※当社は、
フィールドでバリデーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具現化(具体化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。