第334号 恒温槽の扉が閉まり切っていない時の槽内温度への影響を調べました。
恒温槽の扉が閉まり切っていない時、槽内温度はどれぐらい変化するのか?
恒温槽の管理用に内部温度を測りたいが、温度センサを挿入する孔がない。
そこで、扉から管理用の温度センサを入れたが、そのケーブルによって扉がキチンと閉まらない。
□ こんなような状態で、恒温槽内の温度がどれぐらい変化するのか調べました。
扉との隙間による大きな温度変化は見られませんでした。
この実験は、まず、恒温槽と扉の間に隙間の無い状態の槽内温度を測定し、次に、ケーブルの隙間がある状態で槽内を測定し、双方の温度を比較しました。
□ 実験のやり方は
1.槽内の4ヶ所(①吹き出し口、②吸い込み口、③中央、④槽入孔付近)に
温度センサを取り付ける
2.恒温槽の温度を40℃に設定する。
3.庫内温度が安定することを”データ収集用PC”で確認する
□ 使用測定器の仕様
・データ収集装置|メーカ:横河電機 型式:DA100
・温度センサ|①~④:テフロン被覆T熱電対クラス1
□ 対象装置の仕様 低温恒温槽
・型式 |MC-71
・槽内寸法|H:400 × W:400 × D:400 (mm)
□ 測定結果とグラフ
(1)隙間の無い状態
■ 実験結果より
・各点の平均温度は40±1℃以内で、ほとんど同じ温度になる
・各点の最大-最小値は0.2℃と温度変動は少ない
(2)隙間の有る状態
■ 実験結果は、(1)隙間の無い状態とほぼ同じ温度傾向になる
(3)隙間の有無の差異:(1)のデータと(2)のデータの差を求めます
■ 今回の実験においては、
・各点の平均値の差は0.4℃以内で、ほぼ同じ温度になる
・各点の最大-最小の差は0.1℃以内で、温度の変動は同じになる
このように、隙間の有無でほぼ差異が出ないことが分かりました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は
異なります。
今回、差異が小さかった理由としては、以下のような点が考えられます。
・周囲温度と設定温度との差が大きくない
・パッキンが柔軟で隙間が小さかった
・庫内の風速が早く、僅かな隙間の影響を受けにくい
(中心部付近で0.67m/sec程度) 、、、等
恒温槽の扉は締め切った状態で使用することが正しい使い方!
このように、今回の実験では、ケーブルによる恒温槽と扉の隙間があっても、温度の変化は小さい結果となりましたが、
ケーブルを扉の隙間から通すことは、イレギラーな使い方になり、扉のパッキンの変形や槽内温度の変動などに注意が必要と考えます。
□ どうしても、扉から温度センサなどを入れなければならない時には
隙間にテープを貼る等の処置を行い、隙間から、空気が漏れ出ない
ようにすることも必要だと考えられます。
挿入孔がオープンのままだったら槽内温度は変化するのか?
>>恒温槽によっては、槽内にヒータや温度センサを入れるために、
ケーブルを通す孔(挿入孔)が空けられていますが
この挿入孔のカバーがアクシデントで開いたままのとき、槽内温度に影響しないか、今回の実験のように確認しておく必要があると考えました。
次回は、挿入孔での槽内温度変化について調べてみたいと考えます。
※ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
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