第351号 計器(変換器)の自己発熱によるBOX内の温度変化とその影響!
BOX内に設置された変換器の校正で困ったことがあります
多くの現場では、設備管理の集中化を行う等のために、色んな種類の変換器を一つのBOX内に格納して使われています。
この変換器の校正は、温度変換器を例にすると、BOX内の変換器の電源が切れた状態で、入出力の標準器の配線を行い電源を投入し、校正作業を実施します。
⇒この校正作業において、困ったことが発生しました。
変換器の電源を入れて測定しようとするが、除々に出力が上昇する等安定しない状況が発生しました。
色々と調べてみると、変換器自体の異常ではなく、BOX内の温度上昇が影響していることが分かりました。
この時は、電源を入れてから、約24時間の長時間かかって安定するという作業上困ったことになりました。
□そこで、BOX内の温度の変化とその影響について調べてみることにしました。
変換器(アイソレータ)の出力は、0.002V(2mV)上昇した
BOX内にアイソレータ(2台)とDC電源(1台)を入れて、変換器表面温度、BOX内部温度とアイソレータの出力に与える影響を調べました。
[測定システムの概要]
[測定結果のグラフ]
□測定結果から
①変換器表面温度は27℃から6h後→32℃とほぼ7℃上昇し安定した。
②BOX内温度は、25℃から6h後→27℃と約2℃上昇し安定した。
③その結果、出力電圧は、電源投入6時間後に0.002V上昇した。
※これらの結果から、
変換器(アイソレータ)の出力は、BOX内の温度に影響されて
上昇したと考えられます。
BOX内の温度上昇は変換器の自己発熱と考えられます
日頃使用する携帯電話・タブレットやCDプレーヤーなどで、長時間使用中に本体が少し暖かくなったことを感じられる方もいると思います。
□実験に使った変換器も同様に、
電源を入れると内部の電子部品の発熱(自己発熱)によって少しずつ
温度が上昇し、BOX内の温度を上げていくと考えられます。
BOX内の温度が安定してから校正作業を行うと良い!
BOX内の温度は、
・BOX内に格納する変換器の数
・BOX内に格納する変換器の種類
・BOXが設置される環境温度
・変換器の電源電圧
などに影響され、校正作業毎に安定時間が違うことが考えられますので、
都度、内部温度が安定したことを確認して校正作業を実施する必要があると考えます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。