第358号 [IQシリーズ]半導体圧力センサは取付場所の周囲温度で出力値が変わるか?
半導体圧力センサは周囲温度でどれぐらい変化するのか?
半導体圧力センサは、腕や指で測る血圧計やロボットが物を掴むときの指の力加減を測るなど、幅広く使用されています。
ご存知のように、製薬の製造設備でも、圧力、液面、重量などの測定に半導体圧力センサが使われています。
これらのセンサは、当然、適格性評価のIQ(設備据付時適格性評価)の実施対象にもなりますので、使用環境によって実際どれぐらい出力値が変化するか分かれば、バリデーション検討時の参考になるかと考えました。
※今回は、
この半導体圧力センサを使った圧力計が使用環境(周囲温度)にどれぐらい影響されるか調べてみることにしました。
[実験に使った圧力センサ]
周囲温度が基準(23℃)より高くても低くても出力値に変化が見られました。
この実験は、
圧力センサを3℃、13℃、23℃(メーカの基準)、33℃、43℃の恒温槽内に置いて、各校正圧力(校正点)での圧力センサの出力値をデジタルマルチメータ(DMM)で読み取りました
□実験の測定システムの概要
[使用測定器の仕様]
・圧力モジュール
メーカ:Druck
型式:PM620/DPI620G
・デジタルマルチメータ
メーカ:HEWLETTPACKARD
型式:34401A
□測定結果とグラフ
■実験結果より
・周囲温度が低くなると+の差が発生し、高くなると-の差が発生した。
・校正点が大きくなるほど、基準との差が大きくなった、(グラフの傾きが大きくなる)
⇒今回の実験の結論としては
(精度内ですが)周囲温度によって、出力値が変化することが分かりました。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異なります。
使用周囲温度による変化がプロセスの品質にどれだけ影響するのか?
このように、今回の実験においては、周囲温度3℃/校正点1.0MPaにおいて最大+0.012MPaの差、という結果がでました。
実際に使用される場面において、この変化が圧力センサを使用しているプロセスの品質にどれぐらい悪影響を及ぼすかが問題になる、という考えだと思いますので、使用される場所の周囲温度の範囲内で変化量を確認して、その変化量がプロセスの品質に影響しないことを確認しておくことが重要になると考えます。
□そのため、
圧力センサを使用する場所の温度によって、影響の受け易さ、受け難さを確認して、使用する圧力センサを決めることが重要になってくると考えます。
取り付け姿勢も影響があるかも??
今回の半導体圧力センサーは、カタログによると取付姿勢が垂直取付で調整したと記載されているため、取付状態も何らかの影響があるかと考えられます。
そこで、取付姿勢の違いによる影響も確認しておく必要があると考えました。
次回は、取付姿勢による出力値の変化について調べてみたいと考えます。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境に
おいても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。