第363号 [IQシリーズ]フロート式流量計は取付姿勢で指示値が変わる?
フロート式流量計は垂直取付でしか使えない?
この流量計は、多様なプロセスにおいて、液体やガスの流量を測定するために頻繁に使用されています。
その動作原理は単純明快です。テーパー管(円錐状の管)の中に、フロート(浮子)を入れたもので、流量の大小によりフロートが上下し、その釣り合う位置を読み取り流量を求めるものです。
[実験に使ったフロート式流量計の外観]
※この流量計は、垂直に取り付けて下さいとカタログに記載されていることもあり、取付姿勢でどれぐらい流量値が変化するか調べてみました。
流量が多くなると傾きによる誤差がでてくる
この実験は、一定流量(250ml/minと500ml/min)の状態で、流量計を傾斜0度から6度まで「1度ずつ」傾けて、流量指示値(フロートの位置)を確認しました。
実験に用いた流量計
ニードルバルブ付マルチフローメータ
型式:MODEL-1203
メーカ:コフロック株式会社
仕様:50~500ml (Air)
精度:F.S.±2%(計測ポイント)
□測定結果
下の写真は傾き毎に写真を撮り、垂直にして目盛位置を合わせてあります。
■実験結果より
流量が中間の250ml/minでは、傾きによるフロートの位置に変化はなかったが、最大流量(500ml/min)では、傾きが2度ぐらいからフロートの位置(流量値)が低下した。
⇒今回の実験の結論としては、傾斜によって誤差が発生すると言えます。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異なります。
どの程度の取付傾斜であれば問題ないのか!
実際の現場で、流量計を配管に取り付ける場合、流量計を垂直に取り付けることはなかなか難しいと考えられます。
□そんな時、どれぐらいの傾斜だったら誤差が出ないかが分かれば良いのに、と思うときがあります。
⇒今回の実験で感じたこととして、
下図のように、2度、3度傾くと目視でも相当傾いていると感じました。
今回実験した流量計では、結果から6度(見た目で明らかに傾いた状態)の傾斜で、流量計の精度ギリギリだったので、見た目でほぼ真っ直ぐであれば、あまり問題にならないかとも考えます。
(※むろん傾斜が0度がベストなことはいうまでもありません)
取付けた状態(使用状態)で精度確認することをお勧めしています。
今回のフロート式流量計のように、カタログに取付姿勢が垂直などの条件が記載されている場合は、実際の現場環境が調整条件と変わることがありますので、必ず、使用環境で精度確認することをお勧めしています。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、
どんな環境においても、お客様に満足して頂ける
作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。