第371号 周囲温度(低温時)による恒温水槽温度への影響!(その2)
低温雰囲気時、設定温度の違いで恒温槽の水温はどれぐらい変わるか?
前々回のメルマガでは、恒温水槽の設定温度が30℃のとき、最大で「0.27℃」の温度差が発生することをお届けしました。
その実験をする中で、設定温度が30℃より高いときは雰囲気温度と設定温度の差が大きくなるため、恒温水槽内の温度も、もっと差が出てキャリブレーションへの影響がさらに大きくなるのではないか?と不安を感じる時がありました。
※そこで、寒い現場で、設定温度を30℃以外に、50℃、70℃に設定し、使用する恒温水槽の低温雰囲気の影響を調べることにしました。
やはり、設定温度が高いほど、温度差が大きくなった。
実験方法は、建屋外の低温(気温:約10℃)雰囲気場所に、水面にフローティングボールを浮かべた恒温水槽を置いて、30、50、70℃の設定温度で槽内6ヶ所の温度をモニタリングしました。
[測定システムの概要]
[測定結果]
□測定結果から
・設定温度が30℃と50℃では、
温度差が同じになりましたので同じ程度の影響になったと思います。
・設定温度が70℃では
温度差が0.1℃となり、30℃・50℃よりも周囲温度の影響が大きいと考えられる。
周囲温度の影響はキャリブレーション作業で見過ごされがち?
キャリブレーションで恒温水槽を使う作業では、今回の実験のように、多少なりとも周囲温度の影響を受けることが分かりました。
(今回の実験は、寒さと寒風に震えながら実施しており、かなり極端な状況であったとは思いますが)
□このような作業場所の環境による影響も、キャリブレーション作業の注意点のひとつと考えます。
作業を取り巻く悪影響を取り除くのが重要!
実際の現場の環境は日々変わっていきます。
そのため、恒温水槽の温度の状態も変化することが避けられません。
従って、どの設定温度だったら恒温水槽を使用できる、使用できないという判断が単純にはできないことになります。
今回実験した周囲温度の影響解消の方法としては、
⇒現時点では、今回の実験のように「暖かい風」や「冷たい風」が当たるような場所での作業は避ける、という考え方になると考えます。
□周囲温度以外にも、実際の現場でのキャリブレーション作業には、正しい測定ができない、安全に作業できない、製品の品質に影響するなど、多くの問題が潜んでいます。
そのため、考えられる問題のひとつひとつにキチンとした対策をとって、現場でのキャリブレーション作業を実施する必要があります。
※次回は、これらの問題と対策等を具体的にお知らせしたいと思います。
最後まで、お読みいただき有難うございました。