第382号 金属の塊にみえる温度データロガー、温度の変化に追従する??
最近の薬品や食品等の製造に関わる専門誌には、医薬品の適正流通基準(GDP)厳格化の影響からか、温度測定に使用するワイヤレス(無線)タイプの「温度データロガー」の紹介ページを多く見かけるようになったと感じています。
「温度データロガー」の中でも、高圧・高温になる高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)に使用できるモノなどは、耐熱・耐圧・防水などのためか、見た目が金属の塊に見え、今までの経験から、温度の変化への追従が緩慢になりそうなイメージがありました。
そこで今回は、「実際の温度変化」に対して、当社の保有する「耐熱・耐圧の温度データロガー」が反応する様子:『熱応答性』を測定しましたのでご紹介します。
対象の温度データロガーは、小型ながら500円玉で7枚分の重さ
温度データロガー:当社が実際に使用しているものです。
型式 SD-140 (耐熱:140℃、耐圧:10bar、防水:IP68(完全防水))
サイズ 下部円筒部φ38×高さ18mm、センサ部φ4×50mm
質量 84g
※ 今回の実験では、上記の温度データロガーと温度センサ(3.2Φ)の液中の熱応答性(時定数)を比べてみました。
意外!温度データロガーの方が熱応答性が良い(時定数が短い)
液中の時定数(90%の温度変化)を調べました。
[実験の概要]
1.温度データロガーと、温度センサ(3.2Φ)を15℃→100℃の恒温水槽に移す。
2.収集したその間の温度データから時定数を求める。
今回の時定数は90%です。
15℃→100℃の変化なので、「15℃→91.5℃」に要する時間になります。
[測定システムの概要]:液中
■測定結果(液中 90%応答の時間)
□ 今回の実験の結果としては
温度データロガーの時定数の方が、
温度センサ(3.2Φ)より短時間(約1/3)になった。
今までの経験から、金属の塊にみえる温度データロガーは相当に時定数が長くなると思っていましたが、このデータだけでみると、意外と短かく、温度変化に追従したことにはチョット驚きました。
※ 但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異なります。
温度データロガーを使用する時も応答性(時定数)を気にする必要がある!
今回の実験では、金属の塊みたいな温度データロガーの時定数が短くてビックリしましたが、機器の大きさや形状などがマチマチのため、熱応答性(時定数)の良し悪しも様々と考えられます。
⇒ 従って、
使用する温度データロガー毎に熱応答性(時定数)を確認して
現場・作業にマッチするかどうかなどを検討する必要があると考えます。
『気中』の熱応答性も気になってきました
次回は、今回と同じ測定器を対象に、気中の時定数を測定してみたいと考えます。
金属の塊のような温度データロガーは、今までの経験のように熱応答性が悪くなるのか。
今回の実験と同じような結果になるのか。気になりました。→測定してみました。
※ 当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、
お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。