第397号 小容量のメスフラスコ(1ml) 新品3台のバラつきと測定時の留意点
お客様より微量(1ml)の台付メスフラスコの容量確認のお話を頂きました。
当社での実績がない微小容量のため、市販品を3台準備し、実際に容量測定を行ってみた状況(測定の仕方や結果のばらつきなど)や 測定で注意したことなどについてご紹介します。
1mlの同じような台付メスフラスコ [3台]で測定しました。
ご存知のように、メスフラスコは一定体積の溶液を量り取るために用いられます。
今回、実験に使用した台付メスフラスコは、壁面に「1ml TC 20℃ ±0.01ml」と書かれたものを使いました。
それぞれの意味は以下の通り。
□ 1ml:容量
□ TC:入用(To Contain)
「標線※まで加えたときの量が表示された容量に等しい」
□ 20℃:20℃を標準温度として目盛られている
□ ±0.01ml:容量許容差
(測定値のばらつきの許容される限界)
※今回は、3台のメスフラスコを使って、ばらつきなく測定できるかを確認しました。
なお、JISの規定(JIS R 3505:ガラス製体積計(1994))では、メスフラスコの容量が5ml~のため、これより小容量の今回の対象(1ml)はJIS規格外品となります。
容量はメスフラスコに純水を入れて、秤でその重さを測定して求めました
微量(1ml)の水を測定するため、高精度の秤を使って実験しました。
[測定の仕方]
右図のように、風防の付いた高精度の電子天秤を用いました。
台付メスフラスコの空重量を測定後、標線まで純水を入れた状態での重量を測定し、増分を容積に換算しました。
[使用した秤の仕様]
名称:電子天秤
メーカ:METTLER TOLEDO
型式:XS205DU
精度(直線性±):0.2mg
[測定結果]
今回テストした1mlという微容量なメスフラスコは、測定値が微妙にばらつきました。
※但し、上記の実験は、あくまで一例で、種々の条件により計測値は異なります。
今回の実験で特に注意したことをご紹介します
1mlと微量な水の測定のため、特に注意した点と考えたことを記します。
1.メスフラスコの壁に水滴が着かないように滴下する
壁についた水滴が完全に落下するまで測定ができない(後流誤差を無くす)
2.空気の対流が生じないように囲いを設ける
空気の対流による水分の蒸発を抑える
3.作業台の水平を水準器で確認する
液面の下端が標線(上端)と一致するようにする
4.人によるバラツキを小さくするため、2人で各5回測定を行う
測定者に起因する差異の要因の有無を確認
5.20℃の環境で、メスフラスコ、水と秤の温度慣らしを行う
温度変化による測定値への影響を抑える
今回の実験では、このような測定値に及ぼす様々な要因の影響を考えて測定を行いました。
当然ですが、微量のため測定には細かな検討や技量(力量)が必要と感じました。
今回の実験では、様々な差異の要因による影響を考えて測定を行いました。
測定結果は、今回の容量のものがJIS規格に規定されていないこともあるかも知れませんが、少しばらつきがありました。
□実際にメスフラスコを使用するときには、その容量値が使用目的に応じた許容範囲になっているか確認して使用することになると考えます。
このような容量測定時には、今回の実験での注意点も少しは参考にして頂けるのではと思います。
※当社は、
この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。