第398号 規格(バリデーション基準)が要求する校正する実施のタイミングが分らない
セミナー参加者の方は校正の実施タイミングが分かりにくいと感じている!
当社がセミナーを主催する際に、時折、参加者の方々から「校正の実施タイミングが分かりにくい」という感想を耳にします。
このように感じる要因としては、規格の要求内容が分かりにくいとか、セミナー講師の説明の仕方が分かりにくい等があげられると思いますが、このメルマガでは、当社の説明の拙さは棚に上げさせてもらい、「バリデーション基準」と「校正の定義」に注目して、当社が考える校正の実施タイミングについてご紹介します。
「バリデーション基準」の要求は“校正された計測器を使用すること”のみ
チョット小難しい話ですが、校正に関する規格要求は
設備据付時適格性評価(IQ)
設備・システム又は装置が、承認を受けた設計及び製造業者の要求と整合することを確認し、文書化することをいう。校正された計測器を使用すること。
このIQ中にある「校正された計測器を使用すること」のみの要求になっています。
そして、運転時適格性評価(OQ)、性能適格性評価(PQ)も同じ要求になっていて、校正のタイミングや定義などの記載を見つけることはできません。
□ 確かに、この要求内容からは校正の実施タイミングは分かりにくいと感じます。
他に、校正のタイミングに関わる情報がないか調べてみました
GMPの運用上の参考事例を示した2013年版のGMP事例集(GMP13-19)に「校正の定義」が記載されていました。
”※1”の行先はページの下の方にあります。
□ 今回は、「校正の定義」と「バリデーション基準」での要求の2つを読み解いて校正の実施タイミングを考えてみます。
「校正の定義」からは、製造するまでのどこかで校正を実施すると読み解けます。
GMP事例集で校正のタイミングに関わる内容としては、[答]にある赤字の「製造行為中に使用される計測器の表す値と真の値との関係を求めること」になると考えます。
これは、「製造する迄には、使用する計測器は校正しておくこと」と考えます。
従って、「バリデーション基準」が要求するバリデーションが完了して生産に移るまでに校正をするということです。
□「校正の定義」からは、校正のタイミングのひとつの考え方が見えてきました。
でも、分かりづらくしている要因は「バリデーション基準」にもありそうです。
次に、「バリデーション基準」の要求内容を掘り下げてみることにしました。
掘り下げる箇所は、当然、校正の要求内容があるところになりますので「IQ」「OQ」「PQ」の定義になります。
まずは、「IQ」「OQ」「PQ」の確認作業で、計測器を使用する場面を考え一覧表にしました。
※2.3.4の行先は下方にあります。
※ このように規格要求を読み解くと校正をどのタイミングで実施すべきかが次第に明確になってきます。
[ここが結論です]読み解けば、校正のタイミングが見えてきます
IQ→OQ→PQの順番に考えていけば校正のタイミングがハッキリしてきます。
※ 当社は、フィールドでバリデーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具現化(具体化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。