第433号 バリデーションの規格は実ループキャリブレーションだけを要求している?
キャリブレーションは3種類必要か?
> 当社では、バリデーション作業の中で実施する必要があるキャリブレーションは3つあるとご紹介しています。
①単体キャリブレーション
②模擬ループキャリブレーション
③実ループキャリブレーション
これらの情報をご紹介したところ、
□ 3つキャリブレーションの全てを実施する必要があるのか。
□ 規格が明らかに求めているキャリブレーションとは何か。
といったお問合せをいただくことがあります。
■ そこで、今回は、規格要求を読み解いて3つのキャリブレーションの実態をご紹介したいと考えました。
規格が明らかに求めているキャリブレーションは1つだけ!
> 規格が求めているのは③の実ループキャリブレーションのみと考えます。
■ ご存知のように、規格ではキャリブレーション(校正)に
「・・・製造行為中に使用される計測器の表す値と真の値をとの関係を求めること」を求めています。
□ この要求を「製造行為中に使用される計測器のイメージ」図を例に説明しますと
イメージ図の装置で製造を行う場合、配管内の「A点」温度を温度センサで検出して、管理計器の記録計に表示した「B点」の値を確認しながら運転されると思います。、
この場合、製造行為中に使用される計測器は〈温度センサ〉〈温度指示調節計〉〈記録計〉になりますが、
キャリブレーションとしては「A点」の温度が「B点」に正しく表示することを確認することになります。
従って、規格では「A点」の温度の値が、記録計(管理計器)の「B点」の値との関係を求めることになり、その方法が『実ループキャリブレーション』になります。
従って、実ループキャリブレーションを実施すれば良い!
> 先のメルマガと重複しますが、実ループキャリブレーションは下図のようなイメージで実施して、「A点」と「B点」の関係を求める作業になります。
■ このように、規格で求められるキャリブレーションは『実ループキャリブレーション』を実施すれば良いということになると考えます。
①と②のキャリブレーションは実施しないケースもある
> では、①と②のキャリブレーションは、規格で求められていないにも関わらず何故実施する必要が生じるのかと言うと
先のメルマガでもご紹介した様に、IQ(据付時適格性評価)の要求を満足させるための方法として実施するものになります。
従って、IQの要求を満足させる①②の方法以外のやり方があれば、①②のキャリブレーションは実施する必要が無いことが分ります。
■ 即ち、バリデーションでは使用者の責任で実施の方法を工夫することもできると考えます。
※ 当社は、フィールドでバリデーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。